磁力と陰陽 ― 宇宙の引き合う力
宇宙の根底にある「二つの力」
宇宙は、常に「引き合う力」と「反発する力」のあいだで呼吸しています。
その代表的な現象が――磁力。
磁石には、N極とS極というふたつの極があります。
異なる極(NとS)は引き合い、同じ極(NとN・SとS)は反発する。
この性質は電磁気学的な極性(ポラリティ)によって生まれ、
電子や原子のスピンの方向に起因しています。
つまり、宇宙の最小単位である粒子のレベルから、
「引き合う(陰)」と「反発する(陽)」のリズムが存在しているのです。
この陰陽の運動がバランスを取り合うことで、
物質は形を保ち、惑星は軌道を維持し、生命は調和の中で動き続けます。
安定とは、引き合いと反発が釣り合っている状態なのです。
陰陽の動態としての磁力
陰陽思想で見ると、
- 「引き合う力」=陰(受容・内向・融合)
- 「反発する力」=陽(発動・外向・独立)
このふたつの動きは常に入れ替わりながら、
ひとつの「氣の場」を形成しています。
磁場は、可視化すればトーラス(渦輪)構造――
中心から放たれた線が外を巡り、再び中心へ戻る循環――を描きます。
この構造は、氣功でいう「小周天」や「天地の氣の循環」と同じ型です。
磁場の流れ=氣の流れ=生命の呼吸。
宇宙のエネルギーは、すべて“陰陽の交流”という波で成り立っている。
「反発」もまた、調和の働き
私たちは「反発=悪いもの」と捉えがちですが、
反発の力こそ、宇宙の秩序を支えている重要な要素です。
もし「引き合う力(陰)」しかなければ、
宇宙のすべては一点に潰れてしまう。
逆に「反発(陽)」だけなら、
バラバラに分散して、何ひとつ形を保てない。
引き合いと反発――この二つの極が
絶妙な距離と張力を保つことで、
惑星は軌道を描き、原子は構造を維持し、
心は愛と自由のあいだで呼吸を続けている。
つまり、反発とは、分離ではなく“動的な調和”なのです。
そして、氣功の実践においても、
この「動と静の調和のダイナミクス」を氣の流れとして感じることがとても重要です。
吸う息と吐く息、収縮と拡張、内向と外向――
その間に生まれる“張力”の中で氣は循環を始めます。
天からの氣が降り、地からの氣が昇る。
そのふたつの流れのあいだに在る自分には、
いつも反発と引き合いの力が働いている。
それは、天地の氣のバランスを体内に映し出す、生命の呼吸そのもの。
陰陽のせめぎ合いの中に、静けさが生まれ、
静けさの中に、再び動きが生まれていきます。
人間関係・心の磁場における陰陽
この法則は、私たちの心や人間関係にも同じように働きます。
誰かを強く惹きつける瞬間がある一方で、
どうしても距離を置きたくなる時期もある。
それは愛が失われたわけではなく、
氣のバランスが自然に調整されているだけ。
近づくときは「融合」のエネルギーが働き、
離れるときは「自立」のエネルギーが働いています。
この往復運動があることで、人間関係は呼吸を保ち、
心は再び中心(玄)へと戻っていきます。
引き合いと距離のどちらもが、
調和のリズムをつくっている。
そして、このことを深く理解すれば、
多くの人間関係の“問題”は、もはや問題ではないことに気づくでしょう。
なぜなら、すべての関係は“氣の運動”であり、
そこに善悪も優劣も存在しないからです。
玄 ― 引き合いと反発が溶け合う点
磁場の中心には、動かない静寂点が存在します。
そこでは引き合う力も、反発する力も、ちょうど打ち消し合っている。
それが東洋哲学で言う「玄(げん)」――
すべての力が均衡した静けさの中心です。
氣功で丹田を意識する修練とは、
この「玄の中心」に意識を合わせる行為。
そこに立てば、陰陽のバランスが自然に整い、
外側の引力・反発(好き・嫌い・不安・期待)が溶けていきます。
玄に還るとき、人は宇宙の調和そのものになる。
動と静、愛と自由、引き合いと離れる――
そのすべてが「ひとつの呼吸」に融けていく。
さいごに
反発もまた調和の一部。
離れることで、全体が呼吸している。引き合いと距離――
その往復の中で、宇宙は生きている。
そして、この「陰陽の呼吸」を包み込む根源の場を、
東洋では「玄(げん)」、現代物理学では「ゼロポイント・フィールド」と呼びます。
どちらも、あらゆる現象が生まれる前の“静寂の情報場”。
科学はそれを“方程式で説明”しようとし、
氣功は“体験として感じる”ことで同じ真理に触れています。
だからこそ、氣功師の観照は「科学的直観」とも言えるのです。
──静寂を感じるとは、宇宙のゼロポイントに同調することなのです。
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馬明香(ま あすか)
氣功師、ヒーラー、セラピスト
認知科学をベースとしたヒーリングと中国の伝統気功を用いて、病人を辞めて、本来の自分の生き方に立ち返り自己実現を目指す生き方を追求している。
本当になりたい自分を実現し生きることこそ、病気を治すことの唯一の道であり、どんな状況にあっても自分の価値を探求しながら人生を生きることが人の本当の幸せであることを信じて活動している。
「道タオ」に通じる気功的な生き方、すなわち、頑張らず無理せず、自然体であれば、自ずと自分が持っている本来の魅力や能力が発揮され、健康に豊かに幸せに生きられるはず。
人生のパフォーマンスを最高に高めていくための一つの道具として氣功を提案している。
 
               		           		  
