「道(タオ)」とは、古典「老子」の中に伝わるこの世界の根本原理です。
老子によれば
この世界を生み出す根源であり、森羅万象を貫く宇宙の理です。
老子はこれを形なく、名前のないものと表現しています。
「道」とは、言葉で捉えようがないためです。
道は常に名なし。 老子 三十二章
また、「道」とは物事を成り立たせる大本であり、常にそこにあるものです。
それは減ることも増えることもなく、
なにか存在しているように見えるがとらえどころがなく
私はそれが何かわからない。
道は沖にして之を用うるに或いは盈たず。
淵として万物の宗に似たり。
(中略)
湛として或いは存するに似たり。吾、其の誰の子なるかを知らず、帝の先に似たり。
老子 四章
老子は、
「道」とは
ありとあらゆる陰陽の関係性(関わり合いと相互作用)で成り立つこの世の営みの背後に滾滾とある何かであり、増えたり減ったりという物理次元の法則を超えたところにある何かであると説きました。
名前がないのでとらえどこらなく、それが何かわからないと言いました。
さらに老子は
物事の根本原理である「道」の働きに身を委ねて生きることを「無為自然」とし、それこそが人間の本来のあり方であり生命の歓喜であると説きました。
すなわち私心を手放して「道」と一体となってあるあり方です。
さらに「道(タオ)」について理解を深めるためには、古代中国の哲学である陰陽論に基づく世界創造の仕組みを知ることが役に立ちます。
すなわち、
「道」という宇宙の根本原理があり、
そこから「太乙」と言われる混沌が生まれ、
さらにそこから「陰」「陽」の二極が生まれ、
陰と陽の交わりと循環の中で森羅万象が成長消滅を繰り返すこの世界ができあがった
というものです。