様々な不定愁訴と関わる副腎疲労
副腎疲労とは、ストレス状態が続くことによって、それに対応するために副腎からホルモンが継続的に分泌され続けることで、副腎が疲弊してしまうことによって起きます。
脳がストレスを感じると、下垂体から副腎を刺激するホルモンが分泌され、それが作用することで副腎からはストレスから身体を守り、ストレスに対抗するためのコルチゾールというホルモンが分泌されます。
ストレスが必ずしも身体に悪いわけではないですが、問題はそれが長期にわたってしまうと、副腎からはストレスに対抗するためのホルモンを分泌し続け、ついにはホルモンの顧客を招き、抗ストレスの機能を果たせなくなることです。
例えば
・アレルギー症状が悪化する
・めまいやふらつき
・自律神経失調
・鬱などの神経症状
・重度の肩こり
・慢性疲労 など
通常であれば、休息と睡眠さえとれれば回復するはずの様々な症状が、寝ても回復しない、寝ても疲れがとれないという状況を引き起こし、最後には動けなくなるという深刻な状態にまで陥るケースもあります。
副腎疲労は、様々な不定愁訴の原因となりますが、多くの人はまだまだその症状と副腎疲労を結びつけて考えないのではないでしょうか。
もし、長引く不定愁訴で悩んでいたり、鬱症状が続いたり、倦怠感や慢性疲労がなかなか改善できないという場合は副腎に注目してみるのも良いでしょう。
抗ストレスホルモンであるコルチゾールの主な働きは、抗アレルギー、抗炎症と血糖値をあげることです。
そのためコルチゾールが分泌されなくなると、低血糖に陥りやすくなり、甘い物やコーヒーなどの刺激物を口にすることが習慣化しやすくなります。
副腎が疲れて普段から低血糖に陥りやすいのに、そこに甘い物を摂取すれば急激に血糖値が上がる血糖値スパークがおきて、血糖値の乱高下が更に引き起こされることになり、副腎だけではなく身体全体にも負担がかかります。
またカフェインは副腎を刺激してコルチゾールを分泌させる作用があるため、副腎が疲れている状態でカフェインを摂取してしまうと、副腎疲労を促進させてしまいます。
甘い物やコーヒーで活力を得ようとしたり、睡眠不足などの習慣がつづくと、副腎に負担をかけつづけることになり、副腎疲労の状態が深刻になるとこの負のループから自力で抜け出せなくなってしまう場合もあります。
副腎疲労から抜け出すための3つのポイント
副腎疲労から回復するためには、改善すべき3つのポイントがあります。
1 脳の状態をリセットする
副腎から出るホルモンをコントロールしているのは脳です。
脳がストレスを感じ、脳が副腎に働きかけて副腎から抗ストレスホルモンが血中へと分泌されますが、血中のコルチゾールが十分に上がると脳がそれを察知して今度は副腎からのコルチゾール分泌を抑えるという、副腎と脳(下垂体)の間で調整が行われています。
ところが脳がストレスを受け続けるとその調整が機能しなくなり、副腎が働き続けることになるので、ストレスによる脳の疲労状態をまず改善する必要があります。
これに対する一番の方法は睡眠です。
睡眠の質を上げること。
もし夜間睡眠が十分にとれないのであれば、昼寝(15~30分)の習慣を取り入れるなど、睡眠を最優先して、できるだけとるようにすることです。
2ホルモンと自律神経のバランスを整える
ストレスがかかることによって副腎ホルモンが分泌されるので、ストレスを緩和し、交感神経の働きによる興奮状態を鎮めるように、自律神経やホルモンのバランスを整える必要があります。
そこで大切なのが、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」です。
セロトニンの分泌を促すことで興奮状態や不安や鬱、怒りを静めることができます。
不安や鬱、怒りなどの興奮状態が引き起こされることでコルチゾールが分泌されるので、興奮状態が続くことでどんどんコルチゾールが枯渇してしまいます。
そこに歯止めをかけるためにセロトニンの分泌を促す必要があります。
3腸内環境を整える
せっかくセロトニンの分泌を促しても、セロトニンが分泌されないと意味がありません。
セロトニンが主に作られるのは脳ではなく実は腸です。
セロトニンの生成の95パーセントは腸内で行われているので、腸の状態が良くなければ当然セロトニンを作り出す能力も低下することになりますので、副腎疲労の人は特に腸内状態を良好に維持ずる必要があるのです。
腸内の環境を整えるためには、まずは次に挙げる4つのことに留意して食事を改善してみましょう。
・砂糖を摂取しない: 砂糖は腸内悪玉菌のエサとなり、腸内細菌のバランスを乱します。砂糖を摂取することで悪玉菌が優位に傾くと、腸内細菌叢の7割を占める善玉でも悪玉でもない日和見菌たちが悪玉菌となって細菌叢のバランスが大きく崩れてしまいます。
・小麦を摂取しない:言うまでも無くグルテンが腸壁を傷つけ、腸壁が弱ってしまう結果、本来血液中に吸収されるべきではない物質までもが血液中に流入し、炎症の発生、悪化の原因となります。
・乳製品を摂取しない:牛乳に含まれるカゼインタンパクは、人間の消化器では完全に処理しきれず、未消化のままのカゼインが腸内にたまると、それがアレルゲンとなり腸の炎症を引き起こす恐れがあります。
・食物繊維、発酵食品、食物酵素を積極的に摂取する:上記3点にまず留意し、さらに腸内環境を整える働きのあるこれらの食品を食べることで腸内環境の改善を加速させます。
まずは2週間、できれば4週間~6週間、砂糖、小麦、乳製品を絶つだけでも腸内環境はもちろん、体調にも改善が期待できます。
副腎疲労への気功的アプローチ
副腎疲労に対して、氣功をどのように機能させることができるか。
まず第一には、セルフヒーリングや伝統氣功の実践によって得られる生理的な反応により、セロトニンが分泌されるということがあります。
セロトニンは瞑想中によく分泌されると言うことが確認されていますが、それと同様の効果が氣功にもあります。
その根拠になるのは、氣功を行うことで脳波が主にα波へと変化していくことです。
それによって、
・セロトニンの分泌が高まる
・自律神経のバランスが整う
・自然治癒力がUPする
・免疫力が高まる
・全身循環が促進される
・内臓機能が高まる
というような効果が得られます。
ですから、氣功を毎日の習慣として取り入れることで副腎疲労の予防改善に役立つわけです。
気功をやっていると脳波が変化し深くリラックスしてくるので、自然と眠気が高まることも多く、そのまま寝てしまうことで睡眠の質も上げることができます。
これは副腎疲労(やその他の不調)に対する基本的で初歩的な氣功の活用法です。
次に、副腎に気を送るというアプローチを試す価値があります。
そのためには副腎についてある程度の知識があることが前提です。少なくとも、副腎が身体のどこにあるのか、どんな働きをしているのか、そういったことに関して基本的に知っておく必要があります。
まずは解剖学の本や、インターネットを利用して副腎を視覚的にとらえることから始めると良いでしょう。
副腎は、左右の腎臓の上部にある小さな臓器です。皮質と髄質の二層構造となっています。
内分泌系に属し、髄質からはアドレナリン、ノルアドレナリン、皮質からはコルチゾールというホルモンが分泌されます。
みぞおちくらいの高さで背骨のすぐ脇にあります。
アドレナリンは心臓の収縮力を強め、心拍数や血糖値を上げ、ノルアドレナリンは末梢血管を収縮させて血圧を上昇させます。
副腎皮質ホルモンであるコルチゾールは水分代謝に関わるほか、抗炎症作用、抗アレルギー作用があり、抗ストレスホルモンと言われるように、ストレスがかかった状態では、生体を守るために急激に分泌が増えます。
さて、副腎について、その位置、機能などをある程度把握したら、副腎に気を送ることができます。
副腎に気を送るということは、言い換えれば副腎を意識するということですので、副腎に意識を向けたり、副腎があるであろう場所に手のひらを当てたりするだけで、十分気が送れます。
少し高度なテクニックとしては、気の球として副腎を召喚し、それに気を送るということも可能です。
注意深く副腎に意識を向けていると、温かくなったり、緩んだりするなどの身体反応を感じることができるでしょう。
これで副腎のヒーリングができたことになります。
本当にそれだけで副腎に気が送れたことになるのか?と思われるかも知れませんが、「気」というものは臨場感を高めるための一つのツールで、大切なのは脳が副腎を意識し、副腎が反応することです。
氣功とは情報操作の技術です。
副腎に気を送るといっても、物理的に副腎に何か働きかけをしているのではなく、副腎が実際に反応するように脳に対して情報的な(非言語的な)働きかけをしていると言った方がより正確です。
少し専門的になりますが、副腎に気を送るというイメージ(情報)が、実際に副腎を意識にあげさせてRゆらぎを起こさせて副腎が書き換わる、という説明をすることもできます。
その結果、副腎のあたりが緩むように感じられたり、身体の芯があたたかくなったり、活力が増してくるように体感したりするなど、実際に反応が起きます。
ただし、全く知らない物は私たちは意識にあげることができません。つまり、対象について知っているほど細かく情報操作ができるということです。
よって、副腎について最低限の知識さえあれば、それだけでもとりあえず十分なのです。
あとは、身体性(身体の感性)が優れていればいるほど細かく情報操作ができますが、身体性を磨いて行くにはそれなりに実践の積み重ねが必要になってきます。
しかしポイントは副腎に意識を向けることなので、たとえ氣功をしらなくても、副腎を普段から気にかけて大事にしようという意識を持つだけでも、相当意味があるのだということを理解しておくと良いでしょう。
気功師、ヒーラー、セラピスト
認知科学をベースとしたヒーリングと中国の伝統気功を用いて、病人を辞めて、本来の自分の生き方に立ち返り自己実現を目指す生き方を追求している。
本当になりたい自分を実現し生きることこそ、病気を治すことの唯一の道であり、どんな状況にあっても自分の価値を探求しながら人生を生きることが人の本当の幸せであることを信じて活動している。
「道タオ」に通じる気功的な生き方、すなわち、頑張らず無理せず、自然体であれば、自ずと自分が持っている本来の魅力や能力が発揮され、健康に豊かに幸せに生きられるはず。
人生のパフォーマンスを最高に高めていくための一つの道具として氣功を提案している。