私たちは気づかないうちに、
「頑張って未来をつくろう」
「望む現実を生み出そう」
そんな力みの中で生きてしまうことがあります。
変えたい。
叶えたい。
創りたい。
そう願うほど、心は少し硬くなり、氣の流れは“意図の方向”へ細く絞られていきます。
けれど、三和氣功でいう 創造主意識(そうぞうしゅいしき) は、その力みとはまったく逆のところにあります。
意図を押し込むのではありません。
強く願う必要もありません。
静寂の中で、氣が自然に満ちて、まだ形にならない “動きの芽” がそっと立ち上がる。
それを 創造 と呼びます。
あなたが創ろうとする前に、すでに創造は始まりまっています。
創造主意識とは、そのような働きのことです。
現実は「操作」ではなく「調和」から動き出します
最近は、“現実創造” という言葉のもとに、情報を書き換えようとしたり、潜在意識を操作しようとしたり、世界をアルゴリズムのように動かそうとする方法が増えています。
もちろん、それらが悪いわけではありません。
人の可能性を広げる試みであることに変わりはありません。
ただ、操作の先にはいつも、“力む自分” が残り続けます。
本当の創造とは、力む自分を残さない静けさの中で起こります。操作ではなく、調和から自然に生まれる流れ なのです。
そこには「願いを叶える私」という主体がもう存在しません。
主体は宇宙そのものとなり、ただ氣が動きはじめます。
創造の源は「中点」にあります
創造主意識は、中点なしには育ちません。
変えたいでもない。
あきらめたいわけでもない。
そのどちらでもない場所。
“何もしない” のではなく、“何かをしなくてもいい” と気づいてしまう静かな地点です。
ここがひらくと、氣は自然に満ちて、あなたを次の方向へ押し出してくれます。
努力も、計画も、戦略もいりません。
ただ、中点に還った分だけ、世界が静かに動き出します。
無為自然の創造
創造主意識が育つと、意図しなくても、あなたの存在そのものが“世界に影響を与える場” になります。
言葉よりも前に、
態度よりも前に、
ただ在ることが周囲の氣を整えはじめます。
三和氣功で大切にしている
- 静寂
- 観照
- 玄
- 無為自然
これらはすべて、創造の質を生む土壌です。
創造とは「やること」ではなく、あなたの存在が静かに世界へ溶けだしていく自然な発動 です。
そのとき、人ははじめて“本当の意味で創造主である” と気づきます。
あなたの創造は、すでに始まっています
創造主意識は、何かを目指して到達するゴールではなく、本来のあなたが最初から持っている“働き”です。
あなたが静けさに戻るたびに、氣は自然に満ち、世界は少しずつ形を変えていきます。
創造とは、未来を引き寄せることではなく、静寂から溢れたものが、そのまま世界へ広がっていくこと。
今日のあなたの静けさが、すでに明日の世界を創っています。
本当の自分を生きるとき、創造は“自然に”始まっていく
人生には、どこかで気づく瞬間があります。
「何かにならなければいけない」
「もっと成長しなければ」
「今の自分では足りない」
そんな前提に立って走り続ける生き方には、終わりがないということに。
ニンジンを追いかけ続ける馬のように、“今ここ” に足が着かないまま生きると、未来を求める自我ばかりが肥大し、今を生きる自分は薄くなっていきます。
でも、本当の自分を生きるというのは、その対極にあります。
なにかになる道ではありません。
なにかを達成して証明する道でもありません。
本当の自分とは、いま、すでにここに在る意識の静けさ。
そこへ戻ったとき、未来は追いかけるものから、“自然に立ち上がってくる流れ” へ変わります。
これが、自然と自分が一体となった真の創造です。
「本当の自分」は、未来へ向かうのではなく、未来を呼ぶ
努力や意図で未来を“追う”と、人生はつねに外側の指標に揺れます。
誰かの評価や、成功の形や、社会のルールの中に自分を当てはめようとすると、心の奥の「本当の自分」の声は聞こえにくくなります。
けれど、深く静かに自分に戻ると、未来の方がこちらへ寄ってきます。
静寂意識で世界を観ているとき、必要な縁、人、出来事が自然に流れ込んでくる。
これは“引き寄せ”ではありません。
静寂の場に調和が満ちることで、世界の方があなたに合わせて動き出すのです。
未来を追うのではなく、未来があなたを迎えに来る。
この体験は、「本当の自分」を生きていると自然にはじまります。
ニンジンを追いかける生き方との決定的な違い
ニンジン型の人生には、つねに前提として
「今の自分はまだ不十分」
「もっと良くならなければ」
という“欠如の視点”があります。
この視点からは、どれだけ成功しても、どれだけ癒されても、満足は一瞬で過ぎていきます。本当の意味で満たされることはありません。
満たされないことをモチベーションにする、そんな生き方ももちろん良いのです。
でも、創造主意識は、満たされないことをモチベーションにはしません。
静寂から自然に生まれる意識は、すでに満ちているという“充足の視点”に立っているからです。
満ちているからこそ動ける。
整っているからこそ創造が起こる。
これは、がんばって獲得する幸福ではなく、ただ還るだけで満ちる幸福です。
創造は「何かをすること」ではなく「在ること」から始まる
本当の自分に戻るほど、創造は“行為”ではなく“状態”になります。
たとえば──
静けさで呼吸しているとき、身体が自然にゆるんで、ふっと閃きや気づきが降りる瞬間があります。
その閃きは、あなたが努力して捻り出したものではありません。
静寂という土壌が、勝手に“次の流れ”を生み出しただけです。
これが創造主意識の働きです。
意図して変えようとするのではなく、静けさが整っているときに自然に形が生まれる。
創造とは、いのちの側がしてくれることなのです。
本当の自分を生きる=創造主意識が目覚めるプロセス
創造主意識は、特別な能力ではなく、本当の自分に近づくほど自然に開いてくる状態です。
- 呼吸が静かになる
- 身体がゆるむ
- 判断よりも感受が先に立つ
- 中点で物事を観られる
- 他者をコントロールせず、Be with でいられる
この“自然体の積み重ね”の先で、人生そのものが Effortless Flow へ変わっていきます。
行動せずとも動き出す。
意図せずとも創まり出す。
がんばらなくても深まっていく。
そこにあるのは、アメリカンドリーム的な“上へ向かう物語”ではなく、根源へ向かって静かに還っていく物語です。
いま、ここに在る自分を生きるほど、自然と世界に調和が広がり、その調和が次の現実を創ってくれます。
あなたの創造は、すでに「いま」始まっています
創造主意識とは、何かに到達しよう、何者かになろうとする意志と力ではありません。
静かに呼吸をして、身体がふっとゆるむ瞬間──
そのとき、すでに人生の創造は始まっています。
本当の自分を生きることは、未来を追い求めて走ることではなく、未来と調和しながら“いま”を満たしていく生き方です。
私たちの内側にある静けさが、今日も世界に小さな波紋を送っています。
その波紋こそが、創造主意識のやさしくて力強い働きです。
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変えたい/手放したいのどちらでもない、静かな中心の意識。
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陰と陽を超えて、すべてがひとつに溶け合う根源。
創造主意識が到達する深い統合の領域。
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天(意識)・地(身体)・人(心)が調和する、三和氣功の根源概念。
“内外がひとつに戻る”という創造の仕組みとも直結します。
馬明香(ま あすか)
氣功師、ヒーラー、セラピスト
認知科学をベースとしたヒーリングと中国の伝統気功を用いて、病人を辞めて、本来の自分の生き方に立ち返り自己実現を目指す生き方を追求している。
本当になりたい自分を実現し生きることこそ、病気を治すことの唯一の道であり、どんな状況にあっても自分の価値を探求しながら人生を生きることが人の本当の幸せであることを信じて活動している。
「道タオ」に通じる気功的な生き方、すなわち、頑張らず無理せず、自然体であれば、自ずと自分が持っている本来の魅力や能力が発揮され、健康に豊かに幸せに生きられるはず。
人生のパフォーマンスを最高に高めていくための一つの道具として氣功を提案している。