努力を重ねて未来をつくろうとするほど、どこかで心が疲れていく──
そんな経験はありませんか。
「こうしなければ」「もっと頑張らなければ」そんな内側の力みが知らないうちに積み重なり、肩も、呼吸も、心も、少しずつ固くなる。
現代の多くの成功物語は、アメリカンドリームの延長線上にあります。
“今ではないどこか”に向かい続け、“まだ足りない自分”を追い立て、延々とニンジンを追いかける馬のように走り続ける。
その生き方が合わなくなった人たちは、身体が先に気づいています。「もういいよ、そんなに頑張らなくて」と。
三和氣功の言う Effortless Flow は、その物語が終わったあとに訪れるまったく新しい“自然の流れ”の感覚です。
力むのではなく、静寂から立ち上がるもの
Effortless Flow とは、“何もしない” ということではありません。
“何かをしようとしなくてもいい” とわかる場所のことです。
変えようとする意図が静まり、あきらめようとする力みもほどけ、そのどちらでもない 中点 に戻ったとき、氣はひとりでに巡り始めます。
意図を押し込むのではなく、静寂が整うほどにいのちの自然な動きがそっと芽吹いていく。
Effortless Flow は、この“自然に立ち上がる動き”のことを指します。
無為自然(むいしぜん)の働きがそのまま現れた状態とも言えます。
なぜ、人は力んでしまうのか
─ ニンジンを追う馬の物語
多くの人は、「がんばれば報われる」「頑張らないと成功は手に入らない」という前提で育ちました。
努力して、結果を出し、評価される。そこに価値があると教えられたからです。
だけど、どこかで気づきます。
努力を積み重ねても、心が枯れてしまうことがある。
望みに向かって歩いているはずなのに、どんどん自分が遠ざかっていくことがある。
ニンジンを追いかける馬は、走り続けるほど、“ニンジンが常に少し先にある構造”から抜け出せません。
Effortless Flow は、その馬を降りる選択です。降りてみると、世界は思ったより静かで、温かい。
そして不思議なことに──
降りた瞬間から、必要なものが自然に流れ込んでくるようになる。
委ねることと、流されることは違います
Effortless Flow を“流されて生きること”と誤解する人がいます。
でも、これはまったく違います。
流されるときは、「自分がいない」状態。
方向がつかめず、他人の言葉に揺れ、自分の中心から離れてしまいます。
一方で、委ねるときは、静かな主体性が必ず残っている。
止まっているように見えても、内側には “選んでいる感覚” がある。
芯がある。
静寂に根が下りている。
Effortless Flow はこの“静かな主体性” の中でだけ起こります。
委ねているけれど、自分は消えていない。ここがとても大切です。
その瞬間には「流れ」は見えない
─── でも、後からすべてが一本の線になる
Effortless Flow の最大の秘密は、流れの真ん中にいるときには“流れが見えない”ということです。
渦中にいるときには、不安も揺らぎもある。
「これでいいのかな」
「止まってしまったのかな」
そんな思いが出てきます。
けれど、後から振り返ると、どんな道もひとつの線になってつながっている。
あの停滞も、あの涙も、あの遠回りも。
すべてが自然の導きとして機能していたのだとわかる。
どんなにあがいていた時期でさえ、あなたは流れの中にいた。
これは、縁起の視点からも真理です。
人生は単体ではなく、無数の背景同士の“つながり”によって動くから。
だから、今この瞬間、流れが見えなくても大丈夫。
見えなくていいのです。流れは、あとから見えるものだから。
そして、この瞬間もまた“流れの一部”であることに変わりはありません。
今はまだ形が見えなくても、すべては思っているよりずっとうまくいっています。
Effortless Flow ─ 本当の自分を生きるとき、自然に起こること
本当の自分を生きるとは、“理想の自分になる”ことではありません。
何者かになるために背伸びしなくてもよくて、過去の延長線でもなく、ただ静かに“今の自分”へ戻っているだけ。
この「戻る」という動きが、Effortless Flow をもっとも呼びやすい。
なぜなら、戻る=静寂に触れることだから。
静寂に触れると、氣が自然に満ちて、世界の方からあなたへ近づいてくるように感じます。
未来へ急がなくても、“今ここ”の質が未来を呼ぶようになる。
Effortless Flow とは、未来を追いかけるのではなく“今”が未来を連れてくる生き方です。
結び
何もしていないのに、どこかで静かに世界が動いているような感覚。
何も変わっていなくても、このままでいいんだという安心と信頼の感覚
これこそが、Effortless Flow のサインです。
努力によって現実を動かすのではなく、調和と静寂によって自然に展開していく人生。
あなたはいつだって流れの外にいたことは一度もありません。
ただ静かに、中点へ戻ればいい。そこからすべてが始まります。
馬明香(ま あすか)
氣功師、ヒーラー、セラピスト
認知科学をベースとしたヒーリングと中国の伝統気功を用いて、病人を辞めて、本来の自分の生き方に立ち返り自己実現を目指す生き方を追求している。
本当になりたい自分を実現し生きることこそ、病気を治すことの唯一の道であり、どんな状況にあっても自分の価値を探求しながら人生を生きることが人の本当の幸せであることを信じて活動している。
「道タオ」に通じる気功的な生き方、すなわち、頑張らず無理せず、自然体であれば、自ずと自分が持っている本来の魅力や能力が発揮され、健康に豊かに幸せに生きられるはず。
人生のパフォーマンスを最高に高めていくための一つの道具として氣功を提案している。