「変わりたい」と思っているのに、気づけば元に戻ってしまう。
新しい習慣も三日坊主、学びを積み重ねても、また同じ悩みに直面してしまう。
そんな経験を繰り返すと、「私はやっぱり変われないのかもしれない」と自己不信や諦めに陥りがちです。
けれど「変われない」のは意思の弱さではありません。
心理学・認知科学・脳科学の視点、そして氣功の智慧から見れば、
「変わらないこと」そのものが自己防衛機能であり、深層心理や身体の仕組みによる当然の反応なのです。
表層に見える「変わらない人」の特徴
多くの人は、行動のレベルで「変われない理由」を説明します。
- 新しいことを始めても続かない
- 周囲の期待や環境に流される
- 行動を起こす前に考えすぎて止まってしまう
しかし、これは氷山の一角にすぎません。「変わりたいのに変われない」本当の理由は、もっと深い領域にあります。
深層心理にある「変わりたくない自分」
変化を妨げるのは、本人すら気づかない無意識の力です。
- 怒りや責任転嫁
変わらないことで「私は悪くない。こうなったのは親や誰かのせいだ」と主張したい。 - 変化への恐れ
もし変わってしまえば、親を責める口実や被害者でいる立場を失う。 - 自己不信と愛の欠如
感情を解放しても、どこかで自分を冷めた目で見てしまう。「どうせ私はかわらない、自分を信じられない」という態度が残っている限り、何をしても変化は定着しない。
こうした心の深層には、幼少期からのトラウマや愛着の傷、「世界は安全ではない」という根本的な不信感が潜んでいます。
なぜ人は変わらないのか──三つの視点から
「変わらない」ことは怠慢ではなく、心と脳の自己防衛機能です。
心理学・認知科学・脳科学はいずれもその仕組みを説明しています。
1. 心理学の視点:防衛機制
心理学では、人は無意識に「防衛機制」を働かせ、自分を傷つける恐れから身を守ります。
「変わらない」こともその一つです。
- 変われば失敗するかもしれない
- 変われば愛されなくなるかもしれない
- 変われば役割を失うかもしれない など
こうした恐れを避けるために、心は「現状維持」を安全策として選びます。
2. 認知科学の視点:スキーマとバイアス
認知科学では「自己スキーマ」や「認知バイアス」によって、変化の難しさが説明されます。
「私はこういう人間だ」という自己像は、脳の情報処理を固定化し、それに合わない情報を無意識に排除します。
結果として、新しい行動は「自分らしくない」と感じられ、元に戻ろうとするのです。
3. 機能脳科学の視点:ホメオスタシスと省エネ
脳と身体の仕組みも変化を嫌います。
- ホメオスタシス(恒常性維持機能):変化をストレスとみなし、自律神経やホルモンを通じて現状に戻そうとする。
- 報酬系(ドーパミン回路):新しいことに挑戦するよりも、慣れた習慣を繰り返す方が「安全」で「楽」だと脳は判断する。
- エネルギー効率:脳は変化に伴う意思決定で大きなエネルギーを消費するため、省エネの観点からも現状維持を好む。
氣功から見た「変わらない」状態
氣功では、人の心身は氣(エネルギーと情報)の流れによって成り立つと考えます。
「変わらない」状態とは、氣が外側の恐れや怒りに縛られ、本来の中心(丹田)に還れていない状態でもあります。
丹田に氣が集まらなければ、自己信頼は育たず、内側から自然に変わっていく力も眠ったままです。
逆に、呼吸や身体の感覚を通じて丹田を感じ、氣を内側に戻すとき、「変わらなければならない」という焦りを超えて、自然に変化が起こるプロセス が動き出します。
突破口はどこにあるのか
1. 望む未来にコミットする
「どうなりたいか」に焦点を当てること。
恐れや怒りではなく、望む在り方を意識することで、氣は新しい方向へ流れ始めます。
2. 氣づかない傷を認識する
同時に大切なのは、「自分の氣づかないところに傷ついた自分がいるかもしれない」と理解すること。
これは痛みを探すことではなく、無意識のうちにそれがあるという、存在を認めること。
その認識が、自己不信を溶かす第一歩になります。
3. 丹田に氣を戻す実践
呼吸とともに丹田に意識を置き、「傷も含めて私は私だ」と受け入れる。
この小さな実践が固定化されたマインドを揺らし、氣を動かし始めます。
実践ワークの提案
「変わってはいけない理由」を書き出すワーク
- 紙を用意し、「もし私が変わったら、どんな不安があるか?」を書き出す。
- 出てきた言葉を眺めながら、「これは本当に事実だろうか?」と問いかける。
- 最後に深呼吸をして、紙を見つめながら「ありがとう」と唱える。
このプロセスは、無意識に隠れたブレーキを可視化し、氣を解放する小さな突破口になります。
「変われなかった体験」の意味
どんなに努力しても「私はやっぱり変われなかった」と感じることもあるでしょう。
けれど心理学的にも氣功的にも、それは失敗ではありません。
潜在意識の中では、体験や学びが情報として蓄積され、水面下で処理が進んでいます。
それは発酵のように熟成され、人生のあるタイミングで統合されるのです。
つまり「変わらなかった経験」すらも未来の変化のための布石になります。
まとめ
「変わりたいのに変われない」のは意志の弱さではありません。
- 心理学では、防衛機制としての「変わらなさ」
- 認知科学では、自己スキーマやバイアスによる固定化
- 脳科学では、ホメオスタシスや省エネの仕組み
これらが複雑に絡み合い、人を現状に留めているのです。
しかし、望む未来にコミットし、氣づかない傷の存在を理解し、丹田に氣を戻す実践を続けること=自分を生きるための取り組みをあきらめずに続けることで私たちは自然な変化の流れに乗ることができます。
「変わらない自分」を責めるのではなく、そのプロセスすら未来のための養分と受け止めること。
そこに、氣功が示す「愛と調和の変化の道」があるのです。
変わろうと無理にあがくのではなく、自己防衛の仕組みすら自然の一部と受け入れ、氣を内に還す。
そのとき人生は、無為自然の変化へと開かれていくのです。
変わらない自分を責めるのではなく、そのプロセスすら未来の養分として受け入れること。
そこに、氣功が示す「無為自然の変化」があります。
その一歩を体感していただくために、遠隔ヒーリングに参加してみませんか?

馬明香(ま あすか)
氣功師、ヒーラー、セラピスト
認知科学をベースとしたヒーリングと中国の伝統気功を用いて、病人を辞めて、本来の自分の生き方に立ち返り自己実現を目指す生き方を追求している。
本当になりたい自分を実現し生きることこそ、病気を治すことの唯一の道であり、どんな状況にあっても自分の価値を探求しながら人生を生きることが人の本当の幸せであることを信じて活動している。
「道タオ」に通じる気功的な生き方、すなわち、頑張らず無理せず、自然体であれば、自ずと自分が持っている本来の魅力や能力が発揮され、健康に豊かに幸せに生きられるはず。
人生のパフォーマンスを最高に高めていくための一つの道具として氣功を提案している。