あなたは日常でどのくらい手を意識していますか?
気功において、「手」は単なる身体の一部ではなく、意識、意図(意念)、そして「氣」を形作る媒介です。
気功において特に重視されるのは手のひらの中央に位置する「労宮」というツです。古代から、労宮を通じて「氣」を操作し、エネルギーの流れを整える方法を見出してきました。
労宮の役割とその意義
労宮は手のひらの中央付近にあり、気功では「気の集中点」、「氣」を操作するための身体的ポイントとして重要視されています。
このツボを意識することで、体内のエネルギーを効果的に流し、必要な場所へ導くことが可能です。
三和氣功では、この「労宮」を活性化するための氣功的な実践法がいくつかあります。これを受講者のすべてに伝授しているのは、労宮を意識することにより、気の流れがより高まり、かつ乱れず一貫している状態を作り出すことが可能になるからです。
これによって内なる調和が生まれ、不安や疲労といった状態を軽減することができますし、「氣」を意識的にとらえ操作するという感覚も育っていきます。
たとえば、瞑想の際に労宮に焦点を当てることで、エネルギーの放射や循環がより強く感じられるようになります。
私自身も三和氣功において最初に学んだのが、労宮を開くための氣功でした。当初は「氣」を全く感じられず、その仕組みも理解できていませんでした。しかし、練習を重ねるうちに、労宮に焦点を当てることで氣の流れを感じ取り、さらには「氣」を操作するという感覚が徐々に理解できていったのです。
また、三和氣功の創始者である馬光文が氣功整体の指導をする際には、必ず「労宮」による「氣」の操作の重要性を解いていました。
ヒーリングの際にも、情報空間を操る際にも、「氣」の流れや動き、変調などを感じることが重要になりますが、そのためには労宮をしっかりと意識に上げられることが大事です。
無意識から意識的な使い方へ
ところが、現代の生活の中にあって、私たちが「手」を使うのは、常に無意識的であり、「意識」の媒体となりうることなど全く関心を持たずに過ごしています。
スマホやパソコンなどの機器を操作する手の動き、運転したり、何かをとったり持ったりする手の動きは反応的であり、意識が向けられることはありません。
その結果、私たちは労宮を通じた気の流れがわからず、気は散乱したり滞りやすくなります。そして「手」を通して現実や人生を意識的に生きること、創造していくその感覚がわからなくなっています。
しかし、気功の実践を通じて手の動きを意識的にし、労宮の働きを活性化することで気の流れを活性化し、整えていくことが出来ます。こうした実践を通して、私たちは気の操作が可能になっていくのです。
日常生活における気功と労宮の実践
気功の動作における労宮の意識は、自己のエネルギー状態と深く結びついています。
たとえば労宮を意識して手のひらを開く動きは「受容」を象徴し、気を集める行動として機能します。また一方、手のひらを下向きにすることで「安定」を促し、根付いた強さを感じることができます。
また、手を心臓の位置に置く動きは、労宮を通じて心と体の統合を深める重要な儀式となります。このような小さな動作が、「氣」の流れや自己の意識の使い方についての認識をアップデートする鍵となるのです。
そしてまさに、伝統的な気功はこうしたことを腑に落としていくために実践するものです。
労宮がもたらす未来の可能性
「手」を意識した動作を日々の生活に取り入れることで、意図的にエネルギーを整え、現実を積極的に創造することが可能になります。
文字通り意識的にそうすることによって、それは単なる儀式的行動や健康体操ではなく、実際に自分自身を一貫性を持った力強い存在へと変えていくプロセスにつながります。
労宮を中心とした気功の実践は、私たちが普段見逃している手の役割を再発見し、自己の意識を高め、また気の流れを調和するための道筋を示してくれます。
手を通じて感じる「氣」の流れは、私たち自身が現実に影響を与えることのできる内なる力そのものです。
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馬明香(ま あすか)
氣功師、ヒーラー、セラピスト
認知科学をベースとしたヒーリングと中国の伝統気功を用いて、病人を辞めて、本来の自分の生き方に立ち返り自己実現を目指す生き方を追求している。
本当になりたい自分を実現し生きることこそ、病気を治すことの唯一の道であり、どんな状況にあっても自分の価値を探求しながら人生を生きることが人の本当の幸せであることを信じて活動している。
「道タオ」に通じる気功的な生き方、すなわち、頑張らず無理せず、自然体であれば、自ずと自分が持っている本来の魅力や能力が発揮され、健康に豊かに幸せに生きられるはず。
人生のパフォーマンスを最高に高めていくための一つの道具として氣功を提案している。