不安やイライラでいてもたってもいられないのはマインドが暴走するから
不安、恐れ、イライラ、焦り、怒りなどネガティブな情動が起きているとき、私たちは自分を見失います。
そういう情動に自分が乗っ取られているような状態になっているとも言えます。
情動に乗っ取られてマインドの暴走が起きているのです。思考の暴走と言ってもいいかもしれません。
いわゆる、「今ここ」にいないという状態です。
思考が未来や過去に行き過ぎていて、思考のエネルギーが空回りしているような状態。
このような時に自分を見つめるのは難しいですが、もしできるならよく自分自身を観察してみるとよいでしょう。
過去に起きたパターンを思い出して、実際に起こるかどうかも分からないネガティブな未来をシュミレーションし、もうそうなった氣でいるのです。
そしてどうしよう、どうやって解決しよう、何とかしなきゃ…となります。
今この瞬間には何も起きてはいないし、実際には次にどうなるのかなんて何通りもの可能性があるはずにも関わらず、頭の中で思考した未来の予測に、心も体も支配されます。
危機回避モードが過熱する
そのようにして私たちは危険な未来や不快な未来を頭の中で創造して、自分の身を守ろうとします。
その反応は、草食動物が肉食動物を目の前にして起こす反応と何ら変わらないものです。
一刻も早く逃げるか、戦って撃退するかです。そのどちらかしかありません。
いずれにしても、危機を回避するために体は戦闘態勢に入るので、副交感神経が抑制されて内臓機能が低下する代わりに交感神経やホルモンの作用で心拍数や血圧は上昇し、血糖値が上がります。
この反応自体は何ら問題がありません。健全な反応です。
野生の動物は危険に際してこのような反応によって身を守るのです。
ただしこれは命の危険にさらされた一時的で瞬発的な反応であって、持続させるべきものではないのです。
ところが人間の場合は、「思考」するという能力のために過去と未来にも臨場感を感じて、ストーリーを作り出すことができます。
きっとこうなるだろう、こうに違いないとネガティブなパターンを思い描いてそこに臨場感を感じるのです。
基本的には、人間も動物なので、危機を回避し生存するために自動反応によって生かされていますが、この危機を回避し生存するという最重要目的のため、私たちはほぼ自動的に常に最悪のシナリオを未来に対して創造します。
その結果どうなるかといえば、危機回避モードを未来の最悪の結末に対して起動させ続けることになります。
過去と未来の因果関係を認識できる人間だけが危機回避モードを継続して維持できる動物なのです。
でもそのために、本来は一時的であるはずの危機回避のための反応が、持続し継続し、過熱することによって、私たちは自らの思考のために自らを危機回避に奔走させ、自らを疲弊させ続けるというループの中に閉じ込めてしまうことになります。
ネガティブな未来の臨場感は、ネガティブな未来を現実化させ、さらにネガティブな未来を私たちは頭の中で創造しては現実化していくことになります。
こうした危機回避モードが長期にわたって持続すれば、当然身体は疲弊していき、最悪の場合病気になってしまうわけです。
「氣」を集中させる
このような状況は、いわば「氣」を自分が望まないものに浪費しているような状態です。
氣功の世界観では、すべての物事が氣で成り立っているのですが、氣の凝縮が物理であり、氣の拡散によって物理的なものは物理的に存在できなくなります。
つまり氣が集中するほど氣が凝縮されて現実化(物理化)されるし、氣が分散していては現実化しないのです。
なので、どうせ未来に氣を集中させるなら、ネガティブな未来ではなくポジティブな未来を思い描くべきです。
これがコーチングにおいて、ゴールに臨場感を感じるということです。
そしてもう一段階「氣」を集中させることのレベルを上げるなら、今に集中することです。
この物理世界に生きる私たちにとって現実とは実際には「今」しかありません。
未来も過去も、情報空間の中にしか存在しないのです。
なので、未来に意識を向けるということは、物理的肉体的存在である自分への集中をずらしてしまうことでもあるのです。
今の自分のフォーカスしその自分が手に入れたいものにフォーカスする、これが意志という「氣」の使い方です。
これは口で言うのは簡単ですが、腑に落とすのはもしかしたら難しいことかもしれません。
なぜなら私たちは、冒頭で述べたように常に情動に振り回され思考に自分を乗っ取られているからです。
そして情動に振り回されて思考に自分を乗っ取られている間中、私たちはネガティブな未来に臨場感を感じてしまい、そこに氣が集中して使われているような状態です。
こんな状態では今にフォーカスなど無理ですし、たとえアファメーションなどを使って未来に臨場感を感じようとしてもあまりうまく機能しません。
なので、まず情動に振り回されることから自由になり、思考を自分で制御できるようになることが大事です。
そのために必要なことが「身体」であると三和氣功は考えていて、だからこそ伝統氣功の実践を重要としているのです。
まず自分の身体に常にフォーカスできるようになること、丹田や軸を常に意識できるようになることで情動と思考の暴走を止めることができるようになります。
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気功師、ヒーラー、セラピスト
認知科学をベースとしたヒーリングと中国の伝統気功を用いて、病人を辞めて、本来の自分の生き方に立ち返り自己実現を目指す生き方を追求している。
本当になりたい自分を実現し生きることこそ、病気を治すことの唯一の道であり、どんな状況にあっても自分の価値を探求しながら人生を生きることが人の本当の幸せであることを信じて活動している。
「道タオ」に通じる気功的な生き方、すなわち、頑張らず無理せず、自然体であれば、自ずと自分が持っている本来の魅力や能力が発揮され、健康に豊かに幸せに生きられるはず。
人生のパフォーマンスを最高に高めていくための一つの道具として氣功を提案している。