癒しの四章 ― 身体・意識・魂・宇宙の調和 第1章
「治る」とは何だろう。
大学時代、私はこの問いにずっと惹かれていました。
薬や手術で症状が消えることを“治る”というのなら、
なぜ同じ治療をしても治る人と治らない人がいるのだろう。
そして、なぜ“心が軽くなるだけで”身体の症状が和らぐ人がいるのだろう。
私は心理学と生理学のあいだで、その答えを探し始めました。
当時はようやく「心身症」という言葉が一般にも知られ始めた頃で、
心と身体が相互に影響を与えるという考え方は、まだ新しかったのです。
心と身体が交わる場所
癒しの現場で見られる“奇跡的な治癒”には、
単なる生理的回復では説明のつかない何かが起きている。
その“何か”を私は知りたかった。
医師アンドリュー・ワイルやバーニー・シーゲルの著作に出会い、
身体の治癒には「心理的変容」が伴うという視点を学びました。
赦し、感謝、受容──そうした内的な変化が起きたとき、
身体がそれに呼応するようにバランスを取り戻していく。
治癒とは、失われた秩序が戻ることではなく、
新しい調和が生まれることなのかもしれない。
そう感じ始めたのはこの頃です。
癒しのとき、内側で何が起きているのか
治癒のプロセスを見つめていくと、
それは「死と再生」のような内的な変容を伴います。
古い価値観が崩れ、
これまでの自分を赦し、受け入れる勇気が生まれる。
心がそのプロセスを通過するとき、
身体もまた、その“解放”を反映するかのように変化していく。
私は、身体の修復現象の背後には
意識の働きがあると確信するようになりました。
それは理屈ではなく、
多くの臨床例や体験の中で“観えて”きた真理でした。
生命の自己調和という智慧
治癒とは、壊れたものを元に戻すことではありません。
それは生命が自らの秩序を再構成する、自己調和の働きです。
この視点に立つと、病気さえも「調和を取り戻すための動き」として観えてきます。
当時はまだ、“氣”や“意識”を科学的に語ることはできませんでした。
けれど私は、心が静まり、愛や赦しが生まれる瞬間に、
確かに“生命が整う”感覚を感じていました。
それが後に、氣功との出会いにつながります。
氣功では「氣=生命の情報」であり、
その流れが滞るときに不調が生じ、
流れが整うときに癒しが起こると考えます。
いま思えば、あの頃探していた「癒しの秘密」は、
すでに身体の中で語られていたのかもしれません。
生命は、いつでも自らを癒す智慧を持っているのです。
癒しとは、
生命が自分自身の完全性を思い出すプロセスである。
学びのご案内
このコラムで語った“癒しの本質”は、氣功を通して実際に体験し、
自らの身体と意識を通して確かめることができます。
三和氣功の氣功師養成講座では、
「感じる」「観る」「在る」という三つの実践を通じて、
生命の流れと調和する生き方を学びます。
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その一歩を、静けさの中から始めましょう。
馬明香(ま あすか)
氣功師、ヒーラー、セラピスト
認知科学をベースとしたヒーリングと中国の伝統気功を用いて、病人を辞めて、本来の自分の生き方に立ち返り自己実現を目指す生き方を追求している。
本当になりたい自分を実現し生きることこそ、病気を治すことの唯一の道であり、どんな状況にあっても自分の価値を探求しながら人生を生きることが人の本当の幸せであることを信じて活動している。
「道タオ」に通じる気功的な生き方、すなわち、頑張らず無理せず、自然体であれば、自ずと自分が持っている本来の魅力や能力が発揮され、健康に豊かに幸せに生きられるはず。
人生のパフォーマンスを最高に高めていくための一つの道具として氣功を提案している。