「ありがとう」と口にした瞬間、心が静かになり、呼吸が深まり、世界の見え方がふっと変わることがあります。
感謝ができるかできないかに関係なく、「ありがとう」という言葉そのものが持つ“氣の働き” は、私たちを陰陽の中心へ連れ戻し、
現実を肯定的に受け止める力を持っています。
今回は、「ありがとう」という言葉の周波数、言霊としての働き、心理学・脳科学との統合を通して、その深い癒しと調和の本質をお伝えします。
序章「ありがとう」を口にするとき、何が起きているのか?
「ありがとう」と言った瞬間、心が静まり、呼吸が変わった経験はないでしょうか。
感謝できる状況ではなくても、ただ「ありがとう」とつぶやくだけで、胸の奥のざわめきが少し落ち着くことがあります。
氣功では、この状態を “中点へ戻る” と言います。
つまり、
- 陰(沈む心)にも
- 陽(高ぶる心)にも
どちらにも偏らず、中心の静けさに立ち戻ること。
「ありがとう」という言葉には、この“中心”へ戻る力がある のです。
1章ありがとうは「中点の氣」── 陰にも陽にも偏らない意識状態をつくる
「ありがとう」は、喜び(陽)に寄っているときは穏やかに引き戻し、悲しみ(陰)に沈んでいるときは静かに浮上させる働きがあります。
これは感情を“調整する”のではなく、中心意識(中庸) に戻す作用です。
中点とは、
- 善悪を超え
- 感情の波を否定せず
- 現実をそのまま見守る
- そのままを受け入れる
観照の意識 とほぼ同じ状態。
だから「ありがとう」は、どんな状況でも言葉にできる“中点の氣”なのです。
2章 条件つきの感謝と、条件のない感謝── ありがとうが“自己受容”を自然に起こす理由
「ありがとう」と言うとき、私たちの心には 自己受容のスイッチ が入ります。
これは、感情や状況に対して“納得したから” でも “気持ちがついてきたから” でもありません。
むしろ、
- 許せない
- 腑に落ちない
- どうしても抵抗がある
- 受け入れがたい
そういうときにこそ、「ありがとう」という言葉は心の奥で固くなった部分をゆっくり緩める力 を発揮します。
🌿 ありがとうは、心の抵抗を“無理なく”ほどく
感謝の言葉を発すると、脳と身体は“肯定のモード”に切り替わります。
その瞬間、心の奥で生まれていた 抵抗・葛藤・否定 のエネルギーが少しほどけ、がんばらなくても 自己受容 が起きはじめます。
これは、葛藤を解除し → 中点(中庸)へ戻し → 調和を生むという自然のプロセス。
氣功ではこの状態を「中天(中点)の氣に戻る」 と表現します。
まさに、三和氣功のヒーリングがいつも目指している“中心意識”です。
葛藤や抵抗は、人生の氣の流れを止めてしまう
人は抵抗しているとき、氣の流れは、停滞します。
- 許せない
- 責めてしまう
- 過去に囚われる-「こうあるべき」に執着する
- 受け入れない、認められない
これらはすべて氣が前に流れず、交錯している状態 です。
心の葛藤が続くほど、現実も同じ場所で止まり続けます。
中点に戻った瞬間、人生の流れは再び動き出す
「ありがとう」という言葉は、その抵抗を静かにゆるませるので、その結果、氣の流れは 上下方向(天と地) に抜けていきます。
すると自然と、
- 呼吸が深まり(陰)
- 身体がゆるみ(陰)
- ほんの少しだけ受け容れるスペース(陽)が生まれる
こうした小さな変容が起きます。
この“フラットさ”こそが人生のエネルギーを再び動かす 再起動のポイント になります。
人生の停滞は、努力不足でも、才能の問題でもなく、ただ 中心からズレていた だけ。
ありがとうは、私たちを 無理なく中心へ戻す言霊 です。
条件のない感謝は、自己否定をやめる小さな革命
本当に感謝できなくてもいい。
心からありがとうと思えなくてもいい。
それでも「ありがとう」の言葉を胸に抱いたとき、人は自分自身を少しだけゆるし、現実に対する闘いを一瞬だけ手放しています。
この小さな“受容”は、人生全体の氣の流れを変えるほどの力を持っています。
つまり、「ありがとう」は、自己否定を止めて生命の流れを前に進める最もやわらかなスイッチ。
これは、感謝の持つ氣と意識の働きそのもの と言えます。
3章「ありがとう」は、誰かのためではなく”自分をゆるすための言霊” です
「ありがとうを言えば良いことが起きる」
「どんなことにも感謝しなければならない」
そう信じて、無理に“ありがとう”を言おうとして苦しくなる人がいます。
けれど、それは 感謝の本質を取り違えている のです。
ありがとうは、“良い未来を引き寄せる魔法の言葉”ではありません。
誰かや自分を許すための立派な言葉でもありません。
本当の意味はもっとやさしく、もっと静かで、もっと内側に向いています。
「ありがとう」は、外側の出来事に向ける必要はない
人はときに——
- 許せない相手
- 納得できない状況
- 理不尽な出来事
- 傷つけられた過去
これらに無理やり「ありがとう」と言おうとします。
「感謝すれば良いことが起きる」「感謝=良いこと」と思い込み、言えない自分を責めてしまう。
しかし、それでは心は二重に苦しくなるだけ なのです。
なぜなら、本心はまだ痛んでいるのにその感情を“間違い”と判断し、上から感謝をかぶせようとしてしまうから。
苦しい気持ちに“ありがとう”と言う必要は、本当にない
許せない気持ちを否定したり、押しつぶすためのありがとうは、言霊ではなく 自己否定の道具 になってしまいます。
だから、言わなくていい。
言えないなら、そのままでいい。
あなたが悪いわけじゃない。
あなたの心は、まだ痛んでいるだけ。
感謝は、正しい人になるための訓練”ルールではありません。
では、ありがとうは何のためにあるのか?
答えはひとつ。
今苦しんでいる“自分”を罰しないためです。
ありがとうは、外側の誰かや出来事に向ける必要はありません。
言えないときは、
空に、
宇宙に、
朝の光に、
カップのコーヒーに、
今日の空気に、
そっと言えばいい。
その「ありがとう」がやがて 内側の自分に返ってくる からです。
感謝の言葉は、どんな自分も赦し愛するためにあるのです。
なぜ、それで良いことが起きるのか?
「ありがとうを言えば良いことが起きる」——これはよく聞くフレーズですが、本当の理由はこうです。
ありがとうを言う →心がゆるむ →自己否定がゆるむ →氣の流れが整う →現実が動き始める
つまり、現実が良くなるのは“ありがとうを言ったから”ではなく、ありがとうによって心がフラットに戻るから なのです。
ありがとうは“引き寄せの呪文”ではなく、自分をゆるし、中点へ戻すスイッチ。
その結果として、現実が自然と優しい方向へ流れはじめるだけのことなのです。
ありがとうは、未来を変えるためではなく自分を罰しないためにある。
だから——
言えないときは言わなくていい。
許さなくてもいい。
上手に感謝できなくてもいい。
ただ、“今のままの自分”を罰さないために、静かにありがとうと心の中で言ってみる。
それだけで、もう調和のプロセスは始まっています。
4章言霊としての「ありがとう」── 高周波が“場”と“身体”を静かに整える
3章で見たように、「ありがとう」は誰かのためではなく傷ついた自分を罰しないための言霊 です。
そして、この“言霊”としてのありがとうは、もうひとつ重要な働きを持っています。
それは、場(空間)の氣を整え、身体の周波数を中点へ戻す力。
ここからは 言霊 ×
陰陽 × 氣の仕組み を通して、「ありがとう」の言葉の持つ力を考えていきます。
言霊とはなにか?
日本には、古くから言葉には霊(エネルギー)が宿るという思想がありました。
これを “言霊(ことだま)” と言います。
言霊とは、
- 言葉の響き
- 意味
- 発する人の意識
- 振動としての音
これらすべてが重なって生まれる“氣の現象”です。
言霊は祈りの原型であり、氣功の観点でいえば、声=意識の波の物質化と言えます。
「ありがとう」が高周波の言霊と呼ばれる理由
多くの人が「ありがとうは最も高い波動の言霊」と表現しますが、これはこの言葉が抽象度の高い情報へと私たちの意識を自動的に方向づけるからです。
ありがとうには、
- 受容(陰)
- 祝福=与える(陽)
- 中心意識(中点)
の三つの動きが同時に起こるため、陰陽のバランスがその場で調和し、結果として“周波数が高い状態”になるのです。
✔ 感情に嘘をついて言う → 周波数は乱れる
✔ 自分をゆるすために言う → 周波数は整う
これは言霊そのものの“科学”です。
言霊は“場”に作用する
「ありがとう」と口にすると、言霊はその周囲の空間に広がります。
すると場の氣は——
- カリカリと尖ったものが落ち
- 重さが抜け
- 空気が柔らぎ
- 静かな光が満ちるような感覚
に変わります。
これは単なる比喩ではなく、実際にそうなります。
氣功の観点では場の陰陽配置が整った 状態です。
人が祈ると空気が澄む。
誰かのために手を合わせると、その場全体が優しくなる。
そんな経験をしたことはありませんか?
寺院や教会等の祈りの場が優しい空気を持っているのは、愛のことばの周波数がその場を整えるからです。
感謝にもその力があります。
言霊は“身体”にも作用する
ありがとうをつぶやくと、不思議と胸や喉が緩む瞬間があります。
あれは、
- 胸腺
- 迷走神経
- 横隔膜
- 心包
など、“心の防御に関わる領域”がゆるむためです。
身体がゆるむと、氣の通り道(経絡)が開き、自然に氣が流れ始めます。
つまり、“ありがとう”は身体を通して氣の循環を再起動する言霊 なのです。
言霊は「何に向けるか」ではなく、”どんな意識状態で発するか”で変わる。
ここがとても大切。
「相手を許したくないけど、ありがとうと言わなきゃ」→ 言霊の周波数は乱れ、場も整わない
「今の自分を責めないために、そっとありがとう」→ 中点に戻り、場も身体も整う
言霊は“心の状態”を包んで伝わるもの。だから「ありがとう」と言えないときは、無理に言わなくていい。
そのかわり、空に、コーヒーに、光に、宇宙に 誰に向けなくてもいいからやわらかく感謝の言葉を置いてみる。
その一つの言霊があなたの内側と、あなたのいる場を静かに整えてくれます。
5章科学と氣功が示す、感謝のリアル── 「ありがとう」が心・身体・現実を整えるしくみ
氣功の観点に限らず、心理学・神経科学・生理学の世界でも、「ありがとう」は明確な調和の効果を示します。
感謝の気持ちを表すことの脳内ではセロトニンやドーパミン、オキシトシンと言った幸福ホルモンが分泌されることがわかっています。
感謝が脳に与える影響:
- セロトニン:心のバランスを整え、不安や攻撃性を抑える。
- ドーパミン:やる気や幸福感を高める報酬系ホルモン。
- オキシトシン:愛情や絆を深めるホルモンで、ストレス軽減にも効果的
こうしたリラックスや幸福感を導くホルモンの作用は、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑え、その結果として副交感神経が優位になり、心拍や血圧が落ち着くという効果があります。
また感謝を習慣化すると前頭前野(理性や自己評価を司る領域)が活性化し、衝動的な感情をコントロールしやすくなることもわかっています。
これはまさに、感謝が「中点」の意識状態を育てるという根拠となります。
そして興味深いことに、感謝の言葉を発するだけで、聞いた相手にも同様のホルモン反応が起こるという伝播効果もあるらしいと言われています。
心理学の研究では、感謝を感じた時には脳の”脅威反応”(扁桃体の過剰反応)が弱まり、前頭前野における認知や判断機能が活性化する音がわかっています。
これは、ストレスで狭まっていた視野が開き、より抽象的な視点で物事を観る能力が高まるということ。
その結果、
- 解決策が見える
- 思考が柔らかくなる
- 他者への共感が戻る
これらが自然に起こることを意味しています。
こうしたことから「ありがとう」の効果は、
- 脳
- 神経
- ホルモン
- 意識
- 氣
- 場(空間)
私たちの生命現象の様々な抽象度にわたり、これらが同時に調和するひとつの現象 なのです。
6章ありがとうの瞑想── 中点へ戻り、世界をやさしく祝福する練習
「ありがとうの瞑想」はとてもやさしく、誰にでもできて、深い癒しを起こす静かなワークです。
ありがとうの瞑想(5分〜10分)
① 胸のあたりに手を置く
温かくても冷たくても、そのままでいい。
② 呼吸を深くする
整えようとせず、ただ自然に。
③ 心の中でそっと「ありがとう」とつぶやく
言葉の意味を考えなくていい。誰に向けてもいいし、誰に向けなくてもいい。
- 空に
- 光に
- コーヒーに
- 宇宙に
- あなた自身のいのちに
ただ言葉を“置く”。
④ 「言霊の響き」を感じる
響きが胸の奥に落ちていくような、淡い波が広がるような感覚。
⑤ 感情や思考は変えようとしない
浮かんでくるものをそのまま流れに任せる。
⑥ 氣が静かに巡り始める
胸・背中・丹田あたりに温かさや呼吸の広がりを感じることがある。
⑦ そのまま世界に向けて
「ありがとうの余韻」を少しだけ広げてみる。
何も起きなくてもいい。ただ、静けさだけがそこにある。
この瞑想は観照(自己観察) × 調和 × 自己受容 が同時に起きるワークです。
ありがとうは、自分を罰せず、愛するための祈り なのです。
結び ありがとうは、世界を調律する言霊です
ありがとうは、許せないことを許すための言葉ではありません。
苦しんでいる自分を責めないための言霊、ありのままを受け入れ、愛する言霊です。
そしてその一言が、
- 心をゆるし
- 身体を開き
- 氣を巡らせ
- 人生の流れを再び動かし
- 世界に静かで優しい波を広げる
ありがとうは、未来を強引に変えるための“引き寄せの呪文”ではなく、
いまの自分をそのまま肯定し、中点へ戻るための、最も繊細で力強いヒーリング。
言えないときは言わなくていい。
言えるときだけでいい。
言えない自分もそのままでいい。
ただ、心がふっとゆるむ瞬間に静かに“ありがとう”を置いてみる。
その小さな響きは、あなたの中の静寂と世界を確かに、やわらかく整えていきます。
🕊️ 今のあなたへ──やさしく氣が整う時間
ありがとうが心をほどくように、
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馬明香(ま あすか)
氣功師、ヒーラー、セラピスト
認知科学をベースとしたヒーリングと中国の伝統気功を用いて、病人を辞めて、本来の自分の生き方に立ち返り自己実現を目指す生き方を追求している。
本当になりたい自分を実現し生きることこそ、病気を治すことの唯一の道であり、どんな状況にあっても自分の価値を探求しながら人生を生きることが人の本当の幸せであることを信じて活動している。
「道タオ」に通じる気功的な生き方、すなわち、頑張らず無理せず、自然体であれば、自ずと自分が持っている本来の魅力や能力が発揮され、健康に豊かに幸せに生きられるはず。
人生のパフォーマンスを最高に高めていくための一つの道具として氣功を提案している。