意識はどこに向くのか
瞑想や氣功の練習では、
呼吸に注意を向けることがよくあります。
呼吸を観る。
呼吸を感じる。
呼吸に意識を置く。
とてもシンプルな練習です。
けれど、ここには一つ興味深い問いがあります。
意識は、いったいどこに向いているのでしょうか。
意識は、私たちの世界を形づくる
人の意識は、
注意を向けたものを強く感じます。
たとえば街を歩いているとき、
スマートフォンに注意が向いていれば
周囲の景色はほとんど見えていません。
逆に、
空の色や風の気配に注意が向くと、
同じ場所でも世界の感じ方は変わります。
世界そのものが変わったわけではありません。
注意の向きが変わったのです。
つまり意識は、
私たちが体験する世界を形づくる働き
でもあります。
呼吸は注意を落ち着かせる
では、なぜ瞑想や氣功では
呼吸に注意を向けるのでしょうか。
理由の一つは、
呼吸が注意を落ち着かせるからです。
呼吸はいつもそこにあり、
吸う、吐くというリズムを持っています。
このリズムに注意を向けていると、
意識の動きが少しずつ静かになっていきます。
そしてもう一つ面白いことが起きます。
呼吸に注意を向けると、
呼吸そのものも少し変わるのです。
意識で何かを動かそうとしても、
呼吸のように、生命が先に動いている領域があります。
これは特別な技術ではありません。
注意が身体に向くと、
神経系が安心を感じやすくなるからです。
身体は安心しているときほど、
自然にゆったりとした呼吸になります。
呼吸は身体と世界の境界にある
呼吸にはもう一つ特徴があります。
呼吸は、
身体の内側だけの動きではありません。
空気は外から入り、
また外へ戻っていく。
つまり呼吸は、
身体と世界のあいだで起きている動き
でもあります。
呼吸に注意を向けていると、
意識は自然に
身体の内側
そして外の空間
この両方に広がっていきます。
だから呼吸は、
意識を静かに整えると同時に、
視野を広げる入り口にもなります。
ありのままに観えるということ
呼吸を観る練習を続けていると、
注意は少しずつ整っていきます。
すると、
身体の感覚
周囲の空間
人の気配
こうした情報が、
以前よりもはっきり感じられるようになります。
言い換えると、
自分と世界の情報を、より正確に受け取れるようになる
ということです。
日常の言葉で言えば、
ありのままに観えるようになる
とも言えるかもしれません。
普段、私たちは
思い込みや評価を通して世界を見ています。
好きか嫌いか。
得か損か。
成功か失敗か。
こうした判断は大切ですが、
同時に現実の細かな情報を見えにくくすることもあります。
注意が整ってくると、
こうした評価が少し静かになります。
すると、
世界をよりそのままの形で
受け取れるようになります。
観え方が変わると、行動が変わる
ありのままに観えるようになると、
次に起きるのは行動の変化です。
身体の状態がよく分かると、
無理をする前に気づくようになります。
人との関係でも、
場の空気や微妙な変化が感じられるようになります。
つまり、
状況をより正確に理解できる
ようになるのです。
すると判断も自然に変わります。
必要なときには動き、
無理なときには止まる。
頑張りすぎることも減り、
逆に自然に力が出ることも増えます。
この変化は派手ではありません。
でも少しずつ、
身体の動き
人との関係
日常の選択
そうしたものが、
無駄な動きが減り、
より自然な方向へ整っていきます。
氣功が育てているもの
この視点から見ると、
氣功の実践は、
何か特別な力を高める練習ではなく、
生命の情報を受け取る感覚
を育てているとも言えます。
三和氣功では、
この、”生命の情報をそのまま受け取る感覚”
を育てていくことを大切にしています。
呼吸を観る。
身体の感覚に気づく。
空間を感じる。
そうした練習を通して、
意識は少しずつ洗練されていきます。
そして意識が整うと、
世界は以前よりも静かに、
そしてはっきりと見えてきます。
それは特別な世界を見ることではありません。
むしろ、
世界をそのまま受け取れるようになる
という変化です。
呼吸を観ているのは誰なのか
呼吸を観ていると、
もう一つの疑問が生まれることがあります。
呼吸をしているのは
自分のようでいて、
完全に自分の意志でもない。
身体が呼吸している。
生命が呼吸している。
そんな感覚です。
このとき人は、
呼吸を操作しているのではなく、
生命の動きを観ている
という感覚に近づいていきます。
そしてここから、
もう一つの問いが生まれます。
呼吸を観ているのは、
いったい誰なのか。
それは、別のコラムでお話しします。
三和氣功では、
注意と身体の動きを整えていく
アクティブメディテーション
を実践しています。
文章で理解するだけでは触れられない、
“身体が先に動き、意識があとから静まる”
という感覚を、実際に体験する人が多くいます。
もし、いまのあなたの中に
「少し試してみたい」という感覚が生まれていたら、
その一歩をふみだす場があります。
変化は、意図ではなく“気づき”から始まります。
その気づきを確かめる場が、ここにあります。
氣功師・ヒーラー
中国の伝統氣功と認知科学の知見をもとに、無理をせず、自然な流れに還るための氣功とヒーリングを伝えている。三和氣功が大切にしているのは、何かを変えたり、足したりすることではなく、本来の自分に還ること。
頑張ることを手放し、ありのままの状態に戻ったとき、
人はもともと備わっている力や調和を自然と思い出していく。
氣功を人生を操作するための方法ではなく、自然体で生きるための智慧として提案している。