Rゆらぎとは?
Rゆらぎは、認知科学的に気功をとらえた場合に最も理解のしにくい概念の一つです。
しかし、まさにこのRゆらぎを引き起こすことが気功による内部表現の書き換えの中核ともいえるので、1度で理解ができなくても時間をかけて繰り返し学び、理解を深めていきたい概念です。
Rゆらぎとは、文字通り、リアリティに起きるゆらぎのことです。
リアリティとは、これが現実だとリアルに感じていること「臨場感」のことですね。
そして認知科学を少しでも学んでいればわかると思いますが、当然ながら「リアリティ」は人によってそれぞれ異なります。
例えば、猫に感じるリアリティは、猫好きの人にとってはかわいい動物、大好きなペットなどといった感触になるでしょうが、猫恐怖症の人にとってのそれは恐ろしいものになりますね。
リアリティはその人の情動記憶に基づいて形成されますので、人によってリアリティは異なります。
さて、Rゆらぎとは何かという本題にもどると、猫恐怖症の人が猫って怖くないかもと思い始めること、「現実とはこういうもの」という現実認識が揺らいだ時の意識状態、それがRゆらぎです。
認知科学でいうところの内部表現はこの現実感のゆらぎを起こさなければ書き換わらないのです。
猫が怖いと思っている人にひたすら猫ってかわいいから怖くないよと説得を試みても無駄なのは「Rゆらぎ」が起きていないからです。
たとえ話ですが、通常、私たちの潜在意識はきっちりと扉がしめられていて、顕在意識が門番のような役目をして外部の異端な情報の侵入を防いでいます。
この時「現実」はあたかも確固とした絶対的なものとして感じられています。
この状態で、猫はかわいいという、その人にとっては異端な情報を内部に投げ込もうとしても門番によって突き返されるだけです。
ここでRゆらぎが起きると門番が眠りこけ、しまっていた潜在意識へ通じる扉が開きます。
すると絶対的に感じられていた確固たる現実感が揺らぎ始めるのです。
こうしてはじめて潜在意識内部にある猫は恐ろしいというリアリティを崩して新しい異質な情報が入力可能になるというのが情報空間の書き換えのセオリーです。
Rゆらぎの作り方
Rゆらぎを引き起こすためには、
- 無意識を意識に上げる
- モーダルチャンネルを置き換えて提示する
といった方法があります。
例えば、あなたが真剣に本を読んでいるとしましょう。
本の内容に集中しているあなたにとって足の裏の感覚は無意識で感じていることですが、「足の裏に何を感じますか?」と私が質問をした途端、足の裏の感覚が意識に上がってくるでしょう。
そして、冷たいと固いとか痛いとかかゆいなどと、それまで無意識裏に感じていた感覚を言語化(モーダルチャンネルを置き換えて)して私に伝えることでしょう。
これがRゆらぎを起こすということです。
Rがゆらぐということはその人の現実認識の重要度に変化を起こすということでもあります。
脳は、その時々によって自分にとって重要で価値がある情報だけを意識に上げるように働いています。(RASの働き)
本を読んでいる人にとって本を読むことやその内容を理解することは重要ですが、足の裏の感覚は重要ではないので意識に上げる必要がありません。
でも足の裏の感覚について質問をされることによって本の内容よりも足の裏の感覚の方が重要度が上がったのです。
何らかの方法でRゆらぎを起こして、それをきっかけに意識に上がる情報を書き換えていくことが情報空間を書き換えるということです。
Rゆらぎを引き起こす方法はいろいろあります。
例えばミラーリングといった、相手のしぐさをまねる方法もそうです。
快感や恐怖などの強い情動を使うこともできます。
ポイントは現実感にかすかな違和感や意外性を生じさせることです。
そして、Rゆらぎを起こすために気功においては「気」という便利なツールを使えばよいのです。
気を感じることはRゆらぎ
気を感じるということは、言語を体感覚に置き換えて認知しているということです。
両手の間に気を出してみて、手が温かいとかピリピリするなどの感覚を感じますが、そこには温かさやピリピリした刺激を引き起こすような物質があるわけではありません。
「気」という概念(言語)をピリピリとか温かいとか、流れている、入ってくるなどといった体の感覚に置き換えて認識しています。
また体の感覚で感じたことを、この場所は気の流れが悪いとか、これは邪気だなどと言語化して認識しなおすこともあります。
このように、
Rゆらぎが起きているということは、潜在意識に変化を起こしやすい意識状態になっているということ。
だからこそ、気功は情報空間を書き換えるための有効なツールであるといえるのです。
Rゆらぎと縁起
潜在意識に変化を起こすとか情報空間を書き換えるといった場合にはRゆらぎが引き金になるということはわかっていただいたと思いますが、Rゆらぎは常人には扱えない特殊なテクニックというわけではありません。
なぜなら、この宇宙は常に揺らいでいるからです。
そもそも私たちはゆらぎの世界に生きていますから、Rゆらぎは結構身近にある現象です。ただそれを意識して使うのか無意識でやっているのか、それだけの違いです。
量子論的な解釈をすれば、今量子として存在していたものは観測されなくなった途端にひもにかわるし、ひもだったものが意識が向けられた瞬間量子化するということです。
私たちの意識が向く対象は常に変化し続けています。
ある瞬間過去に向いていた意識も、ある瞬間には未来に向き、ある瞬間悲しいと感じていてもある瞬間には楽しいと感じることもできます。
私たちは、自分も自分の心も体もいつも同じだと思いがちですが、よくよく考えてみればそんなことはありえません。
周りの状況、外的な条件、他人との関係の間で、自分=世界というものは目に見えないレベルから目に見えるレベルに至るまで常に変化(ゆらぎ)続けているのです。
これを釈迦は見抜いて「縁起」という概念で説明しました。
なので、Rゆらぎが何か特別なのかといえばそうではないということ覚えておきましょう。
そもそもゆらぎつつけているのがこの宇宙です。
現実は諸行無常です。
ですから、ある特定の情報空間にとらわれて一生そのままなんてことはあり得ない。
過去にとらわれていつまでたっても幸せになどなれないと思っているならそれは違うということです。
いつでも、一瞬で、私たちは幸せになることもできる。
それができないのは、自分でゆらぎ(変化)に対して抵抗しているだけなのだということです。
自らの選択で特定の周波数領域にとどまっている、特定の情報場、特定のリアリティの中に閉じこもっているだけです。
そしてそれは実はとっても労力を要することです。
変化し続け流れ続けるのがこの宇宙の自然な在り方なのにそれに逆らっていることだからです。
ですから、私たちが知識とスキルを駆使することで自分自身にRゆらぎを起こして情報空間を意図的に移動し続けることはそんなにむずかしいことであるはずがないのです。
Rゆらぎを制する者はゲームを制す
最後に気功を扱おうとする人がしっかり理解するべき大事なセオリーについて書いておきます。
それが「Rゆらぎを制する者はゲームを制す」というもの。
スラムダンクにおける名言をわざわざ捩ったのはそれくらい重要だからです。
ここでいう「ゲーム」とはもちろん気功におけるゲームのこと。
すなわち情報空間の書き換えのことです。
よく気功は「情報空間におけるバトル」と喩えられることが多いですがそれと同じことです。
バトルといってもよいほど、実はシリアスな問題を含んでいるのです。
なぜなら私たちは簡単に人の影響を受けて自分が本当は望んでいない選択や行動をしてしまうからです。
例えば催眠術にかかったら普段は大嫌いな食べ物をおいしいと感じて食べることができます。
お医者さんにこれは効果の高い新薬ですと言われればただのビタミン剤でも症状が消えたりする一方、お医者さんに治らないと言われたら自分は治らないということをいとも簡単に受け入れます。
幼いころに親から言われた一言が子どもを長い間無意識に苦しめることもあります。
大好きな人に死ねと言われたら死んでしまうこともできるのが人間です。
本人が心の底でのぞんでいるいないにかかわらず、意識の様々なレベルにおいて、良い意味でも悪い意味でも人間は他人の影響を受けて「リアリティ」を作り上げてしまうものです。
先の縁起の考え方にも通じますが、他人の影響を受けない人間などいません。
この「私」の世界は自分以外の無数の人によって作られているのです。(だから我々は自らのことを「人間」と呼ぶのです)
ヒーリングという場を設定し相手を書き換えるという行為に臨むことは、本質的にはこちら側の影響を意図的に相手に強く及ぼすことで相手の認識を変ようと試みることにほかなりません。
相手を意図的に書き換えるという大それたことをするのですから、ヒーリングという場を設定したならそこにおいてヒーリングする側とされる側の関係性をまず明確にしておく必要があります。
基本的にヒーリングをする側は主導権を握り、支配し、影響を与える側であり、ヒーリングを受ける側は影響を受ける側です。
この関係性を自分で維持しコントロールするという意識を持たないままヒーリングの場に臨むとゲームに負けてしんどい思いをする可能性が出てきます。
いわゆる邪気をもらってしまうという現象は、情報空間におけるゲーム(バトル)に負けてしまったということです。
さてこのゲームに負けないための鉄則が「Rゆらぎを制する」ということです。
つまりヒーラーとして相手に対峙するときには必ずこちらがRゆらぎを起こす側に立つということに十分留意する必要があるのです。
ヒーリングという比較的緩い設定の中においては命にかかわることはないでしょうが、武術や実践的な戦いの現場においては相手によってRゆらぎを引き起こされてしまうとこちらの命取りになるでしょう。
先にも述べたとおり気功とはRゆらぎを引き起こす技術なので、気を感じている間は相手だけではなく自分にもRゆらぎが起きています。
気功というツールを使えば相手だけではなく自分もRゆらぎの状態にあるということ。
それが気功を扱ううえでの重要な注意事項となります。
自分(ヒーラー側)にもクライアント側にもRゆらぎが起きている以上、相手を書き換えるだけではなく自分が相手の臨場感によって書き換えられてしまうリスクが生じます。
これをいかに防ぐかというところの知識やスキルは当然気功習得の大事なポイントになります。
「Rゆらぎを制する者はゲームを制する」とはRゆらぎを相手に引き起こす立場に立つことが出来ないとそのヒーリングは成立しない(上手くいかずに逆に書き換えられる)ということです。
ではどうしたらRゆらぎを制することができるのかは、相手よりも高い抽象度に立つことが出来るかどうかにかかっています。
詳しい話は別の機会に譲りますが、相手よりも高い視点を保つことによって相手の影響を受けることは少なくなります。
なので、クライアントより高い抽象度でヒーリングに臨むということを理解するまでは下手にヒーリングを引き受けない方がいいでしょう。
ネガティブな臨場感が強い相手に対峙した時にはゲームに負けてこちらがしんどくなってしまう可能性があります。
自らのリアリティをゆらがせ自由に世界を創造しよう
Rゆらぎを制するという観点からみると、気功とは情報空間における主導権を握るための技術ということができます。
情報空間における主導権を握るとは、人と人が影響を与え合って成り立っているこの世の中において
- 自分がより影響を与える側に立つこと
- 自分が影響を受ける情報を選べる能力を有すること
この2つの意味があります。
こうした力を養っていくこと、育てていくことが「本当の自分」を生きることにもつながっていきます。
本当の自分を生きることができないと感じている人にとって重要なことは、Rゆらぎを起こして書き換えるべき相手はまず自分自身であるという自覚を持つことです。
Rゆらぎを引き起こしていくべき過去の自分を見極め、気功をつかって自分で自分を書き換えていくのです。
自分の人生を生きていない人は、他人に情報空間における主導権を握られています。
他人によって作られたリアリティは、自分が自分の情報空間の主導権を握ることによって崩していくことが出来ます。
他人の鎖で縛られたまま動けないという臨場感を崩していくのです。
忘れないでください。
そもそもこの世界は一瞬一瞬揺らいでいます。
何一つ変わらないものはありません。
変わらないように感じるのだとしたら、それは錯覚にすぎません。
本当の自分を生きるということは、揺らぎを味方につけ、一瞬一瞬を自分が心から望む自分でいるということなのです。
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気功師、ヒーラー、セラピスト
認知科学をベースとしたヒーリングと中国の伝統気功を用いて、病人を辞めて、本来の自分の生き方に立ち返り自己実現を目指す生き方を追求している。
本当になりたい自分を実現し生きることこそ、病気を治すことの唯一の道であり、どんな状況にあっても自分の価値を探求しながら人生を生きることが人の本当の幸せであることを信じて活動している。
「道タオ」に通じる気功的な生き方、すなわち、頑張らず無理せず、自然体であれば、自ずと自分が持っている本来の魅力や能力が発揮され、健康に豊かに幸せに生きられるはず。
人生のパフォーマンスを最高に高めていくための一つの道具として氣功を提案している。