導入 ─ 陰と陽は対立ではなく、ふたつでひとつ
陰陽とは、古代中国の宇宙観から生まれた「世界を成り立たせている二つの力」のことです。
陰と陽は、敵でも反対でもありません。
呼吸の「吸う・吐く」、
昼と夜、
動と静、
内と外などのように、
互いを完成させる二つのリズム です。
陰があるから陽があり、陽があるから陰がわかる。
対立ではなく、調和のためのふたつ。
これが陰陽の本質です。
陰と陽の基本性質(やわらかい説明)
陰は、
静けさ・受容・内側・冷・夜・身体の奥行きのような性質をもち、
陽は、
動き・発動・外側・温・昼・意志の方向性を持っています。
しかし陰と陽は常に入れ替わり、固定されたものではありません。
冷たい空気が流れれば身体は縮み(陰)、
陽の光を浴びれば自然に広がる(陽)。
世界は陰と陽の呼吸によって成り立つ“循環運動”なのです。
陰と陽はどちらが良い・悪いではない
誤解されがちですが、陰陽は“ジャッジの概念”ではありません。
陰=ネガティブ
陽=ポジティブ
これは天艇的な価値観に基づく混乱を招きます。
実際の陰陽はもっと自然でニュートラル。
陰が深まると静けさが生まれ、
陽が満ちると動きが立ち上がる。
どちらも必要で、どちらも世界を支える片方の翼です。
陰陽の根源は「太極」──ふたつはひとつから生まれた
陰と陽は、“太極(たいきょく)”という一つの源から生まれます。
太極とは、静けさの中に動く前の力が宿る状態。
そこから
陰(内へ向かう力)
陽(外へ向かう力)
が分かれ、世界が展開していく。
陰陽はバラバラの二つではなく、ひとつが表と裏として現れた姿 です。
陰陽は“氣の動き”そのもの
三和氣功では、陰陽は単なる概念ではなく氣の流れとして身体の中で感じ取るもの と捉えます。
- 身体がゆるむ:陰
- 呼吸が広がる:陽
- 繊細な振動:陰から陽への移行
- 無音の静けさ:陰が極まり太極へ戻る瞬間
言葉ではなく、“感覚としての陰陽”を育てていきます。
そして陰陽の奥にある静けさが「玄(げん)」
陰陽が動き続けるとき、その奥には常に“変わらない静寂”があります。
動きの源、
陰陽の根っこにあるもの。
東洋哲学ではこれを 玄(げん) と呼びます。
玄は、
白でも黒でもなく、
光でも闇でもない、
“どちらでもない”静けさ。
三和氣功の哲学では玄こそが生命の調和に最も近い領域 と考えます。
中点と陰陽 ─ 三和氣功における最終理解
陰と陽の間には必ず「間(ま)」が生まれます。
この“間”が深まった地点が 中点。
中点とは、
- 変えようとする力(陽)
- 引き戻そうとする力(陰)
そのどちらにも傾かず、ただ静かに立ち戻る場所。
中点に戻ると、陰陽のバランスは自然に整い、
氣の流れはもっとも透明になります。
三和氣功では、この 中点 → 玄につながる静けさ を大事にしています。
まとめ ─ 陰陽とは、世界の調和をつくる二つの力
陰陽とは、
対立ではなく、世界を動かす“ふたつの方向性”。
どちらも必要で、どちらも世界・身体・心を動かすリズムです。
氣功は、この陰陽の働きを身体で観て、
そのバランスを取り戻す実践。
