心と気功

技が増えても不安な理由|ヒーラー成熟の分岐点

― ヒーラーの成熟はどこで分かれるのか

自分に戻ると、何が変わるのか

50代からの仕事は、
「どれだけ広げられるか」ではなく、
どこから動いているかで決まります。

中心に戻る。

これが、自分らしい働き方の鍵です。

では、身体が整い、
中心に戻ることができると、
焦りはゼロになるのでしょうか。

いいえ、消えません。

でも、飲み込まれなくなります。

呼吸が腹まで落ちているとき、
不安はあっても、選択は急ぎません。

呼吸が浅いとき、
選択は速くなります。

重心が戻るとは、
正しい判断ができるようになることではありません。

焦りに身体を乗っ取られなくなること。

このことは、ヒーラーとしての成熟にも、人生の成熟にも、とても大切なことです。

成長の過程で起きる分岐

ヒーラーを目指す人は、真面目です。

技を増やす。
資格を取る。
セッション数を重ねる。

学び、経験を積み、
自信を育てていく。

これは必要な段階です。

社会の中で信頼を得るためにも、
ある程度の「証明」は機能します。

初期段階では、
この成長モデルは正しく働きます。

ここを通らずに、成熟はありません。

 

けれど、ある地点で分かれます。

同じように学び、
同じように経験を重ねても、

揺れが減らない人と、
静かになっていく人がいる。

焦りや不安で揺れ動き、
学んでも、経験を積んでも、
「まだ足りない」と感じ続ける人。

一方で、
経験とともに、自分への信頼が少しずつ深まっていく人。

この違いは、どこから生まれるのでしょうか。

50代でヒーリングを仕事にしようとするとき、
多くの人が、人生の転換点に立っています。

子育てがひと段落した。
会社での役割が変わった。
これまでの肩書きが、少し遠くなった。

そして、初めて本気でこう考える。

「私は、何をして生きていきたいのか」

でもその問いの奥には、
もう一つ、言葉にならない問いが隠れています。

「私は、このままの私で、
新しいことを始めていいのだろうか」

「今からヒーラーなんて、
遅くないだろうか」

「本当に、私にできるのだろうか」

ここで出てくるのが、
存在の揺れです。

若い頃は、
会社員という肩書きや、
母親という役割が、
無意識に自分を支えていました。

でも、それが薄まったとき、
自分の“素の部分”が前に出てきます。

すると、不安が出る。

まだ足りないのではないか。
もっと学ばなければならないのではないか。
ちゃんと結果を出さないと認められないのではないか。

ヒーラーとしての不安に見えて、
実は「人としての存在の不安」が揺れている。

ここをどう通るかで、成熟は分かれます。

外側を増やして安心しようとするのか。
それとも、不安を抱えたままでも
自分に立ち戻るのか。

この選択が、
その後のヒーラーとしての在り方を決めていきます。

なぜ、技が増えても揺れるのか

差を生むのは、技の数ではありません。

もっとシンプルなことです。

「うまくいっているときの自分」と
「うまくいっていないときの自分」を、
同じように受け入れられているかどうか。

たとえば──

セッションがうまくいった日は、
少し自信が持てる。

でも、手応えがなかった日は、
「やっぱり私はまだダメかも」と落ち込む。

申し込みが入ると安心する。
減ると、自分そのものが否定されたように感じる。

感謝の言葉があると満たされる。
でも、反応が薄いと、不安になる。

これは、特別なことではありません。
むしろ、とても自然です。

でもここで問題になるのは、
「結果が、自分の価値を決めている」状態が続くこと。

ヒーリングがうまくいけば、自分は価値がある。
うまくいかなければ、価値がない。

申し込みが増えれば、自分は認められている。
減れば、自分は足りない。

こうして、
“仕事の結果”が“自分の存在の価値”とくっついてしまうと、

どれだけ学んでも、
どれだけ経験を積んでも、
安心は続きません。

だからまた学ぶ。
もっと上手くなろうとする。
もっと結果を出そうとする。

でもいつまでたっても
「これで本当に大丈夫なのかな」という不安が消えない。

それは、なにか足りないからではなく
自分の価値を、まだ外側で測っているからです。

成熟するとはどういうことか

成熟するということは
自分とのかかわり方が、変わるということです。

外側の基準で自分を支えるのはなく、
内側に支点を戻す。

成熟した人は
自分とどう関わっているのでしょうか。

揺れなくなるのではありません。

揺れを否定しなくなるのです。

不安が出ても、
焦りが出ても、

「まだダメだ」とは言わない。

「いま揺れているな」と気づく。

結果が出ない日も、
自分の価値を下げない。

成熟とは、
強くなることではありません。

自分を責める時間が短くなること。
未熟な部分を切り捨てないこと。
うまくいっている自分だけで仕事をしようとしないこと。

与えられる自分も、
迷う自分も、
どちらも自分だと認めていること。

そのために必要なのは、

良くても悪くても、
どんな自分とも一緒にいられること。

成熟とは、自己改善ゲームから降りることです。

急いで改善しようとしない。
自分を常に修正対象にしない。

ここが変わるとき、

ヒーリングは価値の証明ではなく、
自分の表現になります。

ヒーラーの成熟とは何か

ヒーラーの成熟は、
技の数では決まりません。

どれだけ自分との関係が整っているか。
どれだけ結果と自分を切り離せているか。
どれだけ揺れの中でも自分を否定せずにいられるか。

氣功で言えば、

散った気が戻り、
上に上がった気が降り、
偏りが中和している状態。

内側で起きていることは、
必ず外側に投影されます。

焦りの気は、焦る場をつくる。
証明の気は、証明を求める関係をつくる。
安定した気は、安心できる場をつくる。

ヒーラーの成熟とは、
場を変えようとする前に、
自分の気の在り方を整えていること。

ここが変わるとき、
仕事の質は、静かに、しかし確実に変わり始めます。

-心と気功