── 思考・感情・身体を一体として観る、氣功的カウンセリング
「心」と「身体」は、もともとひとつの生命の流れです。
どちらかを無視しては、本当の癒しも、理解も、起こりません。
言葉を聴くことは、氣を聴くこと。
そして、氣を聴くことは、その人の“いのち”を聴くこと。
この姿勢が、身心カウンセリングの本質です。
心・感情・身体のそれぞれに同じ敬意をもって向き合うことで、
その人の内に眠る「自然な調和の力」を目覚めさせていきます。
🌿 はじめに ─ 「心身一如」の智慧
身心カウンセリングは、
大学時代から長らく師事した恩師・橋口英俊先生から直伝された技法です。
橋口先生は、アメリカの心理学者アルバート・エリスから直接「論理療法(REBT)」を学び、
日本に紹介した第一人者のひとりでした。
そして「心身一如(しんしんいちにょ)」という東洋の智慧を、
心理カウンセリングに融合させた独自のスタイルを確立されました。
思考と感情、そして身体の反応は、すべてひとつの循環。
どれかひとつが調えば、他も自然に調っていく。
その考え方が、三和氣功の身心カウンセリングの源流となっています。
☯️ 身心カウンセリングの特徴
① 傾聴と観照
心の声をただ「聴く」のではなく、
思考・感情・身体の動きを一体として**観る(みる)**ことから始まります。
そこには、分析や評価ではなく「氣を感じ取る静寂」があります。
② 論理と感性の統合
橋口先生の教えの中心には、論理的に考える力と感性を開く力の両立がありました。
感情を抑えるのではなく、感情を理解し、
それを支える“思考の枠組み”を整えていきます。
「気づき」は、思考の整理から生まれ、
「癒し」は、身体の解放から始まる。
この両輪がそろったとき、人は本来の自己へと還っていきます。
③ 身体へのアプローチ
心の問題を言葉だけで扱わず、
呼吸・姿勢・触覚・氣の流れなど、身体のサインを丁寧に読み取ります。
先生は実際に鍼灸や整体の手技も取り入れ、
心理と身体を同時に調えるホリスティック・カウンセリングを実践されていました。
三和氣功の身心カウンセリングもこの流れを受け継ぎ、
氣功的な「触れ」や「観照」を通じて、
身体の内側から心の抑圧がほどけていくプロセスを導きます。
橋口先生の導き ― 鍼灸と氣功への道
私が東洋医学の道を歩むようになったのは、
橋口先生の一言がきっかけでした。
ある日、先生は静かにこう言われたのです。
「君は鍼灸師になりなさい。身体を学びなさい。」
その言葉とともに、先生は鍼灸の学校を紹介してくださいました。
それが、私が東洋医学の道へ進む直接のきっかけでした。
もしあの時、先生の導きがなければ、
私は氣功の道に進んでいなかったかもしれません。
あの瞬間、心の奥で何かが動いたように感じました。
「身体を通して心を観る」という道が、
その日から私の人生のテーマになったのです。
今、三和氣功で行っている身心カウンセリングには、
先生から受け取った智慧と愛が深く流れています。
そしてその導きのように、
私自身も誰かの人生の流れを静かに開く“氣”でありたいと思っています。
🕊️ 橋口英俊先生について
── 心と身体をひとつとして観る、統合カウンセリングの先駆者
三和氣功の「身心カウンセリング」は、
心理学者・橋口英俊(はしぐち ひでとし)先生の教えを源流としています。
橋口先生は、アメリカの心理学者アルバート・エリスから
**論理情動行動療法(REBT)**を直接学び、
日本に紹介・普及された第一人者のお一人です。
一方で、西洋心理学だけに留まらず、
「心身一如(しんしんいちにょ)」という東洋の智慧を
カウンセリングの実践に融合されました。
「心と体は、もともと分かれていない。
体が整えば、心も自然に調っていく。」
この思想に基づき、
先生は心理的傾聴と論理的思考の整理に加え、
鍼灸や整体の手法を取り入れた統合的カウンセリングを展開。
まさに“氣の流れ”を感じながら対話する
ホリスティック・カウンセリングの先駆者でした。
🌿 橋口英俊(はしぐち ひでとし)略歴
- 1936年生まれ(韓国生まれ、鹿児島育ち)
- 東京家政大学 名誉教授
- 臨床心理士/日本カウンセリング学会認定スーパーバイザー
- アルバート・エリス博士に師事し、REBTを日本に紹介
- 「心身一如」に基づく統合カウンセリングを確立
- 日本健康心理学会 第8回大会 大会長
- 2019年、瑞宝中綬章を受章
- 2022年4月24日ご逝去(享年86)
