古代中国の哲学における陰陽五行説は、自然の原理をもとに、私たちの人生や心身の在り方を見つめ直すための深い洞察を与えてくれます。
五行説の考え方を通じて、日々の出来事や感情の流れを理解し、バランスを整えるためのヒントを手に入れることが出来ます。
五行説は、古代中国の自然観に根差していて、宇宙を成り立たせる様々な自然の力への観察が土台となり、紀元前770年~221年頃の春秋戦国時代に哲学体系として発展したと言われています。
木・火・土・金・水の5つの要素で自然界の変化や秩序を説明する理論が生まれ、やがて陰陽思想と結びついて、政治や医学、占い、天文、暦法などにも取り入れられるようになります。
五行の調和について
「五行説」は、万物が「木・火・土・金・水」の5つの要素で成り立ち、これらが「相生」(生かしあう)と「相克」(抑制しあう)の関係性の中でバランスを保っているという哲学です。
この「五行のバランス」の意味を理解し応用することで、健康や人間関係などの人生の様々な要素に調和がもたらされます。
木は燃えて火の勢いを盛んにし、火は灰となり土の養分に、土は金を産出し、金は冷えると表面に水が生じ(鉱脈より水が生まれて湧出するという説も)、水は木を育てます。こうした関係を相生といいます。
一方、相剋とは、木は土から養分を吸い、火は金を溶かし、土は水を濁らせ、金は木を伐り倒し、水は火を消してしまう、といった関係を指します。
- 木(成長と動きのエネルギー): 木が成長するように、のびやかで自由にダイナミックに動く力。成長を意識するとき、新たな目標に向かうとき、のびやかで軽やかな力が生まれます。
- 火(情熱と活力のエネルギー): まっすぐで強い力。上昇するエネルギーです。新しい挑戦やアイデアも、この力がないと実現していきません。
- 土(安定と育みのエネルギー): 力を蓄え、育み、安定させる力。安定した環境を整えることは重要です。この働きにより収穫や実りを得ることが出来ます。
- 金(変化と進化のエネルギー): 安定に変容を生み出す力。培ったもの、育んだものから、全く新しい価値へと昇華させる力です。この力により、物事は変化し発展していくことが出来ます。
- 水(収束と潜在のエネルギー): 収束し、顕在化していたものが潜在化する力。休息や内観の時間を大事にすることで、潜在的なエネルギーが蓄えられ、次の目覚めへの準備が整います。
これらは、相生相克の関係性の中で循環し、森羅万象が生まれては消え、また生まれていく、その流れを形作っています。
相生・相克が示す人生の学び
相生と相克は、私たちがポジティブとネガティブを超えて、また物事の一局面のみを捉えずに全体を捉えて、「調和」を見出す視点を与えてくれます。
「五行の調和」を理解すれば、たとえ困難な状況にあっても、それは新しい成長の土台を築くためのプロセスであることがわかります。
また、誰かにとって害をなすことであっても、別の誰かを生かすことになるというように、物事は多元的に存在しているということもわかります。
「本当の自分」を生きようとしているあなたへ
人生は多層的で、時に矛盾するような出来事や感情が交錯します。
「五行の調和」が示してくれるのは、どんな状況もただの良い悪いでは語れず、それぞれが全体の調和の一部として存在しているということです。
あなたが直面している困難も、実は新たな成長への土台を築くための一歩かもしれません。
時には、あなたの他者の道を阻むように見える選択が、実際にはその人にとって新しい可能性への扉を開くきっかけとなり得るのです。
同時に、誰かがあなたにマイナスの影響を与えることで、別の視点やチャンスが生まれることもあります。
どこかで起きた不幸が、巡り巡って誰かを幸せにしたりすることもあるのです。
どんな瞬間も、そこにはダイナミックな自然なエネルギーの流れがあります。
時には高まり、時には静まり、時には荒れ狂い、時には消えてしまう、そんな「氣」の流れを感じることが出来ますか?
あなたの夢を育てるもの、大切な人との助け合い、その中にこそあなたを支えるエネルギーがあります。
人生における「厳しさ」を恐れないでください。困難はあなたを成長させ、魂の深さを広げるための道しるべです。
あなたがどんなに自分を嫌いでも、あなたがどんなに自分を否定しても、全体性の中にあっては、あなたは必ず何らかの形で(それは時にマイナスに見える形であっても)その全体性に必要不可欠な存在なのです。
私たちの誰もがこの調和の中の一部であり、どんなに不幸に思える出来事も、全体性の中にあって意味のある、必要なことなのです。
この世界のすべての出来事が多元的に存在しているように、あなたの人生も多元的であり、全体の調和の中では、そのすべてが美しく輝いているはずです。
調和を受け入れ、自己の真実を生きる道を、心を込めて歩んでください!
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馬明香(ま あすか)
氣功師、ヒーラー、セラピスト
認知科学をベースとしたヒーリングと中国の伝統気功を用いて、病人を辞めて、本来の自分の生き方に立ち返り自己実現を目指す生き方を追求している。
本当になりたい自分を実現し生きることこそ、病気を治すことの唯一の道であり、どんな状況にあっても自分の価値を探求しながら人生を生きることが人の本当の幸せであることを信じて活動している。
「道タオ」に通じる気功的な生き方、すなわち、頑張らず無理せず、自然体であれば、自ずと自分が持っている本来の魅力や能力が発揮され、健康に豊かに幸せに生きられるはず。
人生のパフォーマンスを最高に高めていくための一つの道具として氣功を提案している。