自分を閉じ込める牢獄とは?
人は誰もが牢獄の中で生きています。
それに無自覚の人もいれば、そのことに気づいてそこから抜け出そうとしている人もいます。
私たちを閉じ込めている牢獄の正体はいったい何でしょうか?
それは「こころ」です。
殆どの人は自分の心の中に閉じ込められています。
「自我」というシステムの中に閉じ込められています。
私たちは自らの中に自分を閉じ込めることにより安全に生きることを選択してきました。
このシステムの奴隷となる代わりに、私たちは自分の命の保証を得てきたのです。
この「心(自我)」という牢獄は「恐れ」を基盤に厳密にプログラムされたシステムで、私たちに「恐れ」を感じさせることによって自分という存在を脅かす状況を自動的に避けさせるように働いています。
それは、動物として組み込まれている生命維持機能とも言えます。
そして、私たちの思考も、感情も、そして身体もこの恐れのシステムの中にあり、私たちはそれを自分だと信じて疑いません。
牢獄の中にいると自覚することが第一歩
自我は、すべてを自分が安全かどうか、自分の存在が脅かされるかどうかで判断し、行動するように促します。
そのため、誰もが最初は、自分が安全であること、自分が脅かされないこと、自分という存在が保証されることが自分の幸せであり、成功であり、自由であると信じて生きています。
でもいつしか人は気づきます。
問題を避け自分を守るためだけに自分は自分に支配されているだけではないかと、かすかな違和感を感じ始めます。
恐れをベースにした幸せや成功や自由は、自分が求める幸せや成功や自由などではないということを理解し始めます。
その時こそ、自分という牢獄から自分を解放していくときです。
牢獄を認識したなら、それは朗報です。
なぜなら牢獄を認識できない間は牢獄から抜け出すことは不可能だからです。
次に牢獄の鍵を開けるためにやると良いことは、自分の中にある危機回避的な信念(have to)を洗い出したり、恐れにつながる過去のネガティブな感情をありのままに認めるといったこと。
こうすることで自分を自我の支配の中に閉じ込める「恐れ」から少しづつ自由になるための智慧と力を蓄えることが出来ます。
そして完全にこの牢獄の外に出るために私たちがじっくりと腰を据えて取り組むべきことは、この「自我」というシステム自体を観察し、「自我」という恐れのシステムの中に囚われないようにしていくことです。
『本当の自分』に気づく
でも、自我に囚われないようになるのはとても難しいです。
瞑想や氣功のワークなどは、その自我のシステムから逃れるために有効ですが、最初のうちは何度も何度も失敗をするでしょう。
いい感じだと思っても、気づいたらまた自我のシステムの内側に取り込まれている自分を自覚するでしょう。
そこで焦ったり自分を責めたりしてはいけません。
それでは「自我」の思うつぼです。
「自我」は本物の自分の顔をしていますが、自分を過小評価し、過去の世界の中に閉じ込めることで自分を守ろうとする「システム」に過ぎず、偽りの自分です。
自我は「自分」という存在が失われることを深く強く恐れています。
巧妙に私たちの恐れを掻き立て、信頼感や安心感、一体感を感じさせまいと私たちを誘惑し、抵抗してきます。
こうした自我の戦略をかわすためにとても重要なことがあります。
それが『本当の自分』の存在に気づくことです。
私たちが恐れを掻き立てられ、不安や怒りや絶望や罪悪感を感じている間中、それをただ見守っていた『本当の自分』のまなざしに気づくことです。
この『本当の自分』はあまりにも身近過ぎて、あまりにも自然すぎて私たちは普段気づくことがありません。
特に自我のシステムに深く取り込まれ、思考や感情や身体的な不快感によって自分を乗っ取られている間には(抽象度が下がって)『本当の自分』を意識に上げることなどできないでしょう。
注意深く意識的になって初めて私たちはいつもどんな時も自分とともにあった『本当の自分』の存在を確信することが出来ます。
あなたは今どんなことで悩んでいますか?
どんな信念や感情があなたを苦しめているでしょうか?
そのことを考えているのは誰ですか?
その感情を感じているのは誰でしょうか?
そういう問いを発してみると、かすかにそして明確に「自我」ではない、別の自分の視点を意識に上げやすくなります。
この視点、自分を観るまなざしを意識できるようになると、私たちは自分という牢獄から完全に自由になり、『本当の自分』を生きていくことが出来るようになります。
「自我」が作り出してきた様々な幻想を見破り、ただ真実の中に存在できるようになります。
そこではもはや達成すべき何かは無くなり、何者かになる必要はなくなり、ただ心の赴くままに人生を創造することが可能になります。
あなたの意図することは『本当の自分』の意図するところであり、だからこそただ委ねているだけで充分であることがわかるのです。

馬明香(ま あすか)
氣功師、ヒーラー、セラピスト
認知科学をベースとしたヒーリングと中国の伝統気功を用いて、病人を辞めて、本来の自分の生き方に立ち返り自己実現を目指す生き方を追求している。
本当になりたい自分を実現し生きることこそ、病気を治すことの唯一の道であり、どんな状況にあっても自分の価値を探求しながら人生を生きることが人の本当の幸せであることを信じて活動している。
「道タオ」に通じる気功的な生き方、すなわち、頑張らず無理せず、自然体であれば、自ずと自分が持っている本来の魅力や能力が発揮され、健康に豊かに幸せに生きられるはず。
人生のパフォーマンスを最高に高めていくための一つの道具として氣功を提案している。