セラピストがクライアントのためにできることには限界がある
私は、セラピスト時代にスパや治療院で働いた経験がありますが、患者さんの訴える症状を思ったように改善できなかったり、お客様を十分満足させられなかったなと感じた経験が何度もあります。
そして、その度に落ち込んだり、もっと上手にならなければ… と自分を責めたり奮い立たせたりしておりました。
でも、どれだけ技術を学んでも、うまくいかないときはうまくいかないものですよね?
さらに、私はセラピストとしては20年以上のキャリアがありますが、どれだけ経験を積んでスキルアップしたとしても、それで問題は解決するかというと、しなかったですね。
結局、経験を積んでも、どれだけ沢山のスキルを学んでも、それだけでは、どんなお客様や患者さんが来ても大丈夫!という確信にはつながりませんでした。
でも、クライアントの症状が改善しないのは様々な理由が絡み合っていて、ただ施術者の技術不足だけではないことは氣功を学んでいる今では明確にわかります。
そもそも「セラピー」がセラピストとクライアントの相互作用で進むプロセスなので、どんな結果であれ、その結果は双方が共に出した「解」であり、その解を一方が完全にコントロールしようとすることは無理だし、そうしなくてもいいということを施術者は受け入れないといけません。
なので、ベストを尽くしてとりくんだ施術の結果を一人で背負う必要はないってことをまず最初に断言しておきます。
症状が出る、無くなる、変化する… といった反応は、本人の無意識(身体)の働きによるとことですから、その病気を手放すか手放さないか、症状を解消するかしないかを最終的に選べるのは、施術する側ではなく施術を受けるクライアントしかいません。
クライアントの意識はさておき、無意識がイヤだ!と判断したら、どんなに良い施術をしても症状は消えないし、消えたとしても別の形で顕在化することでしょう。
ですから、まず施術者として自分ができることにはもちろん限界があるということを謙虚に受け止めましょう。
施術の質は技術×経験×あり方できまる
その上で、では施術者がいかに質の高いセラピーを提供することができるのか、ということを考えてみますが、端的に言えば施術の質はセラピストの技術と経験と、あり方によって左右されるといえます。
どんな風に施術をするのか、その知識を含めたテクニックはもちろん最低限必要です。
そして、数をやれば人間は何でも慣れるし、上手になるように、施術の質を高める要素として経験も必要です。
スキルと技術は相乗効果でどこまでも高めていくことができます。
その技術をどのように磨くか、という意識を持ちながら経験を積んでいくのと、単に年数だけを積み重ねていくことでは、スクールを卒業して3年5年10年と、時を経るほどに雲泥の差が生まれるでしょう。
でも、これだけでどんなクライアントも癒やせるスーパーセラピストになれるかといえば、先にもお話ししたように、そうではありません。
そこでもう一つの要素が必要となります。
それはセラピストの「あり方」です。
セラピストがどんな風にもクライアントや物事を見ているのかというその視点や、物事に対する姿勢、態度といっても良いでしょう。
これが実は、施術の質に大きく影響を与えてしまう、氣功の観点から言えばそう断言できてしまうのです。
技術が未熟でも経験が浅くても、「あり方」が適切であれば、クライアントはあなたに癒され、満足します。そればかりか、クライアントの態度や行動の変化を促すことさえできるでしょう。
ですから、技術や知識を得ると同時に、人間としてのあり方を洗練していくという向上心が施術家には必要なのです。
クライアントの内的世界にインパクトを与える
どんな症状も、病気も、それはその人本人の内的世界が身体にアウトプットされたものであるといえます。
例えば、肩こりという悩み一つとっても、それは単に身体の一部で起きている現象ではなく、その人の考え方、セルフイメージ、信念… といった内的世界の一部として表面化しているし、表現されていると言えるのです。
ということは、症状が消えたり、病気が治ったり、何かしらの身体的「変化」が起きるときには、必ずその人の内面の変化が同時に起きているということです。
そして、クライアントの内面、奥深くに刺激を与えるのは、あなたの技術でも経験でもなく、実はあなたの「あり方」なのです。
あなたがどんな姿勢で、どれくらい高い視点でどれくらい深く相手を観ているのか、それこそがインパクトをもって相手の内面に影響を与えるということです。
施術家は、クライアントの身体だけを相手にしているのではないのです。
もちろん、筋肉なり、関節なり、経絡やツボなりを通して働きかけるわけですが、本質的にはクライアントの内的世界にアクセスしていて、クライアントの症状が改善したり治ったりするのは、実は内的世界が書き換わったからなのであると言うことを理解すると、あなたの施術は一つも二つもレベルアップしますし、もっと高いところからクライアントを観ることができるようになります。
そうすると、症状が改善しないのは、様々な要因が絡み合って出てきた一つの結果であることを受け入れることができるし、その時その瞬間の結果だけに振り回されないようになります。
ですから、クライアントが満足しない、結果が出ないのは、あなたが下手なのではなく、あなたの視点が低かった、あなたのあり方が最適ではなかったということです。
クライアントを満足させる質の高い施術ができるようになるためには、技術や経験だけに頼るのではなく、施術家としてのあり方を洗練させていくということを意識すると良いでしょう。
気功師、ヒーラー、セラピスト
認知科学をベースとしたヒーリングと中国の伝統気功を用いて、病人を辞めて、本来の自分の生き方に立ち返り自己実現を目指す生き方を追求している。
本当になりたい自分を実現し生きることこそ、病気を治すことの唯一の道であり、どんな状況にあっても自分の価値を探求しながら人生を生きることが人の本当の幸せであることを信じて活動している。
「道タオ」に通じる気功的な生き方、すなわち、頑張らず無理せず、自然体であれば、自ずと自分が持っている本来の魅力や能力が発揮され、健康に豊かに幸せに生きられるはず。
人生のパフォーマンスを最高に高めていくための一つの道具として氣功を提案している。