―― 増え続ける情報と、内側の静けさ
気づけば、私たちの生活の中に
AIが当たり前のように入り込むようになりました。
検索より早く答えが出て、
気軽な話し相手にもなってくれて、
発信する文章も下書きを作ってくれて、
動画や画像もきれいに作ってくれて、
仕事や会社業務の殆どのタスクはみるみる処理されていく。
それなのに、どこか心は落ち着かない。
身体はなぜか休まらない。
そんな“静かな違和感”を抱いている人も増えています。
「便利になったはずなのに、どうしてだろう?」
そんな言葉にならない違和感を感じている人も、最近よく見かけます。
外側のスピードが上がり、内側が置いていかれるとき
AIが普及しはじめたことで、
私たちが触れる情報の量もスピードも、
気づかないうちに加速しています。
通知、メッセージ、SNS、仕事のやりとり──
ひとつひとつは何でもない刺激でも、
積み重なると、心は常に「処理モード」に入りやすくなります。
これ自体は自然な反応です。
人間の脳は、外側の変化に合わせて働こうとするからです。
けれど、ここでひとつ問題が生まれます。
外側のテンポばかりが速くなると、
内側の静けさが取り残されていくこと。
つまり、外部の情報が多くなるほど、その処理に追われて自分を見失う傾向が強くなるということです。
違和感の正体は、“内側と外側のテンポのズレ”
AIが悪いわけではありません。
情報社会が悪いわけでもありません。
問題は、
外側のスピードに合わせようとして、
内側のリズムが乱れてしまうこと。
人は、自分のテンポより速い世界に合わせ続けると、
- 呼吸が浅くなる
- 身体の緊張が抜けない
- 判断が迷いやすくなる
- 感情の揺れが大きくなる
- 「なんとなく落ち着かない」が続く
という変化が起こります。
これは氣功の世界でいう “気の乱れ” と同じ構造です。
内側の流れが乱れると、
本来持っている感性や直感が働きにくくなり、
心も身体も「自分らしい状態」から少し離れてしまう。
これが自分を見失うということです。
自分がどう感じているのか
自分が何を大事だと思っているのか
自分の身体の感覚
外部の情報の処理の重要度が増すことで、そういったものが意識に上がらなくなってしまいます。
氣功の視点:静けさは“本来のOS”
氣功では、伝統的に外側の世界に合わせる前に、まず内側の流れを調えることを大事としてきました。
氣のメソッドは、常に内外の氣の流れを一つとして感じ、流れと一つであること、流れそのものを生きることを教えてきたのです。
- 呼吸
- 身体のゆるみ
- 心の静けさ
- 観る姿勢
これらが整うと、
外側のスピードに飲まれず、
むしろその流れを味方にできるようになります。
外側の情報の流れは、AIの登場で怒涛のような勢いを得ます。
外側に自分を合わせていくという、かつての私たちのOSでは、この怒涛のような情報量に対応できません。
それは情報をコントロールするという方向性のOSだからです。
だからこそ氣功が伝統的に大切にしてきた、氣の流れとともにある、流れを活かすといったような姿勢をあたらしいOSとして
私たちは採用していく必要があるのです。
AIは、これまでよりも速く、広く、
私たちを“外側の世界”につなげてくれる存在です。
たとえば、
– 大量の情報から答えを探す
– 多角的な見方を教えてくれる
– 仕事の処理を助けてくれる
といった働きによって、
外側の世界との関わりが一気に広がります。
一方で、氣功はその反対側を扱います。
呼吸を整えること
身体の緊張をほどくこと
心の静けさに触れること
こうした“内側の世界”を整えることで、
外側のスピードに飲まれない軸をつくります。
つまり、
AIは外側の広がりをもたらし、
氣功は内側の深さをつくる。
この両方がそろったとき、
私たちは加速する時代の中で、
自分のリズムを失わずに歩けるようになります。
よって、
外側の変化に合わせるのではなく、
内側の静けさを取り戻すことこそが、
AI時代における生き方のもっとも大切な基盤
となります。
内側の静けさとは何か
外側の情報世界がこれからも拡張し続ける一方で、
私たちが向き合うべき “内側の静けさ” は、とても静かで繊細な領域です。
静けさと聞くと、
「落ち着くこと?」「リラックス?」
そう受け取られがちですが、ほんとうはもっと根源的なもの。
内側の静けさとは、
あなたがあなた自身の源とつながる場所 のことです。
もっと具体的に言うと──
- 本当の自分の声がかすかに響くところ
- 思考より深い層で “知っている” 感覚
- 小さな自我の物語を越えた、大きな流れ(大我)のリズム
- タオ(道)がひそかに働き続けている中心点
- 陰でも陽でもない「中点」のスペース
- AIでも誰かでもなく、あなたの存在そのものが立ち現れる場所
こうした言葉は違った角度を持っているけれど、
どれも同じ場所を指し示しています。
それは、外側に探しにいくものではなく、内側にそっと還っていくことで思い出される場所。
そして、その静けさに触れたとき、
“世界の見え方” がゆっくりと変わり始めます。
外側の速度に合わせようとして疲れていた身体が、自分本来のテンポに戻りはじめる。
外から押し寄せる情報に振り回されていた心が、自分の中心で落ち着いていく。
努力や操作で現実を動かそうとしていた意識が、
自然に現実と呼応しはじめる。
内側の静けさは、
あなたを小さくするものではありません。
むしろ あなた本来の大きさが戻る場所 です。
結びに
世界のスピードは、これからもあなたが好む好まないにかかわらず加速していきます。
でも、内側の静けさはいつだってあなたの中にあります。
その静けさに還るたび、
世界は少しやわらかく見え、
あなたの足元は静かに整っていくでしょう。
AIがもたらす新しい時代の中で、
自分の内側のリズムを忘れずにいられますように。
AIと氣功、そして人の意識がこれからどこへ向かうのか──
その流れを、もう少し専門的な視点から静かに読み解いています。
もし、このテーマをさらに深く学びたい方には
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内側の静けさとともに歩む仲間が、
またひとり増えることを楽しみにしています。
馬明香(ま あすか)
氣功師、ヒーラー、セラピスト
認知科学をベースとしたヒーリングと中国の伝統気功を用いて、病人を辞めて、本来の自分の生き方に立ち返り自己実現を目指す生き方を追求している。
本当になりたい自分を実現し生きることこそ、病気を治すことの唯一の道であり、どんな状況にあっても自分の価値を探求しながら人生を生きることが人の本当の幸せであることを信じて活動している。
「道タオ」に通じる気功的な生き方、すなわち、頑張らず無理せず、自然体であれば、自ずと自分が持っている本来の魅力や能力が発揮され、健康に豊かに幸せに生きられるはず。
人生のパフォーマンスを最高に高めていくための一つの道具として氣功を提案している。