不調の始まりは絶え間ない緊張状態から
どうして人は体調を崩し、病気になったりするのでしょう。
それは緊張状態を長く続けてしまうからです。
自分の外側にある価値基準に支配されると人は無意識に緊張します。
自分の外側の価値基準は、例えば親の教育、しつけ、学校の教育、学校のルール、先生に言われた言葉、友達に言われた言葉、会社の教育やルール、常識、流行、インターネット上にあふれる情報、メディアから流れてくる情報…。
それらにとらわれてしまうと
ああでもない
こうでもない
どうして私は○○できないんだ
将来○○だったらどうしよう
こうでなければない
あれをしてはいけない
こうすべきだ
絶対○○でなければならない
などと、四六時中不安や恐れと戦わねばならず、心と体は緊張し続けるようになります。
社会の常識や学校や会社の価値基準や親の意向などから逸脱しないように常に気を遣って頑張って生きていると、脳は常に緊張にさらされていることになります。
脳は、ストレス状態から体を守るためにフル活動を強いられるわけです。
戦闘モードを延々と続けているようなものです
想像してみてください。
まだ人間が野生の中で生活をしていた時代のこと。
森の中で大きな肉食獣に遭遇したらどうでしょう?
身体は一瞬にして緊張状態に入り、全力で逃げるのか、あるいは武器を持って戦うのか、脳はフル回転で生き延びることに全リソースを使います。
自律神経とホルモン系統は危機を回避するために全身の制御を始めます。その結果全身が危険を回避して生き延びることに対して機能を果たすようになります。これを戦闘モードとか危機回避モードと言ったりします。
例えば心臓は筋肉に豊富な血液を送るために血圧を上げて、拍動の回数を早めます。全身の骨格を使って戦うなり逃げるなりのアクションを遂行するためです。さらに筋肉の活動エネルギーを補充するために血糖値は上がります。
血液は骨格筋に集中しておくられるので、内臓への血流は最低限となり内臓機能は抑えられます。この緊急事態にリラックスや快楽は命とりなので、ホルモンの作用によって全身は恐怖と緊張で旋律します。
生きるか死ぬかの事態に際して、一時的に脳は自律神経とホルモン系統を使って緊張状態を強めて対処しようとするのです。それによって生存の確率を上げるためです。
ただし、それは危険が回避されるまでの一時的な反応で、危険が去ればこうした危機回避反応は終わります。
実は、現代人である私たちが「○○を避けたい」「自分を守る必要がある」などというストレスにさらされているとき、脳では危機回避モード(戦闘モード)の反応が起きています。
ねばならない、○○であるべき、~だったらどうしよう… 私たちが日ごろ感じている恐れや不安は、食うか食われるかのような直接的に命にかかわるような危機ではないですが、その代わり、かなり長期にわたってストレス状態が続いているというのが特徴です。
もう一度想像してみて下さい。
脳が先ほどお話しした戦闘モードから解放されずにずっと危機回避のために全身が働いていたとしていたらどうなるでしょうか?
血圧が上がり、血糖が上昇し、筋肉が緊張するという興奮状態が維持され、代わりに内臓に慢性的に血流が少なくなり、内臓機能が抑えられる…。そして、身体の緊張をつかさどるホルモンを分泌する副腎のような臓器は疲弊し、交感神経と副交感神経のバランスが狂うと自律神経も失調していきます。
危機回避モード=サバイバルモードから抜けられないこと。
これが体調不良や病気発生の原因なのです。
中医学では体の気のアンバランスとしてとらえます。
サバイバルモードにあるとき、気は上半身特に頭部に集中していて、下半身の気は空虚になります。これでは身体の気の循環がうまくいきません。
この状態を「上実下虚」といって、身体の気の失調状態を意味しています。人間の身体の生理機能と精神の機能はすべて気が体の隅々を循環することによって成りたっていますので、上実下虚の気の失調状態は、万病のもととなります。
人間の体は本来、「上虚下実」であることが望ましいと中医学では考えます。
上虚下実とは、おなか(丹田)の気が充実して下半身が安定し、上半身は軽く、無駄な力の入っていない状態です。
下半身に気が満ちて丹田が充実していれば、気の循環は川が海へ流れ込み、再び雨となって川の流れを作り出すように、循環力が自然に生まれてうまくいくのですが、ところが、サバイバルモードにある時、頭に集中しすぎた気はその場で滞って熱を生みます。
その結果、循環し続けるよどみない気の流れが失われ、あるところでは極端に気が足りなくなって冷えたり、栄養不足になったり、あるところでは熱がたまって毒を生じさせたり、
冷え性、慢性痛、のぼせ、ふらつき、めまい、発疹、悪心、嘔吐、貧血、疲労… 身体の様々な場所でさまざまな不定愁訴が生まれます。
これが高じると「病気」が生じるのです。
気功で目指すのは、気がよどみなく流れ続ける体です。そのためにいろんな気功をやるわけですが、その目的は丹田が充実して、身体の余分な力が抜けた状態、「調和」であり、「自然体」です。
丹田に気が充実して余分なエネルギーの偏りがないと自然と思考は冴えてクリアになり、くよくよ悩んだり、迷ったりすることに気を消耗するのではなく、本来の在り方、本来の機能に力を発揮できるようになります。
気功はサバイバルモードを遮断し、気のアンバランスを整える
気功やセルフヒーリングをしているとき、脳波がアルファ波に移行し、脳では快楽ホルモンといわれるセロトニンやβエンドルフィンなどのホルモンが分泌され始めます。脳が自然にリラックス状態になるのです。
※セロトニン:心の安定を保つ、幸せを感じる、自律神経を整える
※βエンドルフィン:細胞活性化、脳内鎮痛剤、免疫力を高める
サバイバルモードや上実下虚の体質が定着しがちな現代人にとって、気功は自律神経のバランスやホルモンバランスを整えて病気を予防し、健康に生きていくため、そして病気をやめて幸せに生きていくためにとても有効なツールです。
脳は通常危機回避モードを引き起して生命維持をしようとする「苦痛系」と、リラックスして食欲や性欲を強めて生命を維持しようとする「報酬系」のバランスをとっていますが、現代人はそのバランスが崩れて「苦痛系」が常にオンになっていることで内臓が弱り、免疫力や自然治癒力が低下して、病気になりやすいし、回復力も弱くなりがちです。
ですから気功などのツールを使って意識的に「報酬系」のスイッチを入れるようにしなければ、どんどんストレスが溜まって緊張状態から抜け出せなくなります。本来身体にはバランスを自分でとって生理機能を正常に保つ力がありますが、それができなくなるとその先に待っているのは深刻な病気です。
気功で報酬系をオンにしてリラックス状態を作り出すということは、陰陽のバランスをとって身体の気が十分に機能できるように、また気の流れが滞りなく循環するように「自然体」のあり方を作り出していくということです。
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気功師、ヒーラー、セラピスト
認知科学をベースとしたヒーリングと中国の伝統気功を用いて、病人を辞めて、本来の自分の生き方に立ち返り自己実現を目指す生き方を追求している。
本当になりたい自分を実現し生きることこそ、病気を治すことの唯一の道であり、どんな状況にあっても自分の価値を探求しながら人生を生きることが人の本当の幸せであることを信じて活動している。
「道タオ」に通じる気功的な生き方、すなわち、頑張らず無理せず、自然体であれば、自ずと自分が持っている本来の魅力や能力が発揮され、健康に豊かに幸せに生きられるはず。
人生のパフォーマンスを最高に高めていくための一つの道具として氣功を提案している。