三和氣功における、在り方としてのヒーリング
ヒーリングという言葉を聞くと、
多くの人は「何かをして整えること」を思い浮かべます。
乱れた氣を調える。
不調の原因を見つけて取り除く。
足りないものを補い、過剰なものを減らす。
それらは確かに、一般的なヒーリングのイメージです。
しかし、三和氣功におけるヒーリングは、そのどれとも少し違う位置にあります。
三和氣功が大切にしているのは、
陰と陽、静と動を、調えようとしない場所に立つこと。
その在り方そのものです。
なぜ深層の痛みは「操作」では癒えないのか
私たちが抱えている痛みの中には、
ストレッチや調整、意識的なリリースによって、
比較的すぐに変化するものもあります。
けれど一方で、
どれだけ整えようとしても、
どれだけ理解しようとしても、
まったく動かない痛みがあります。
それは、その痛みが
「問題」や「異常」として生まれたものではないからです。
それは、その人の”存在”の基底部、深層で、生命の流れを守るために作られた”構造”。
三和氣功では、
深層の痛みを
「解決されるべき何か」とは見ません。
それはむしろ、
その人が生き延びるために、身体と意識が選び取った在り方の痕跡
として現れているからです。
操作とは、
「この状態は間違っている」
「変えるべきだ」
という立場から加えられる力です。
しかし、生き延びるために刻まれた在り方に対して、
外側から変化を要求することは、
身体にとっては再び侵入される体験になります。
わかりやすくいえば、その状態の心と体に、操作を加え変化を促したり強要することは
生命の流れを否定することと同じ意味があるということ。
その結果、
身体はさらに深く閉じ、
痛みは“守り”として固定されていきます。
なぜ「在り方」がヒーリングとして成立するのか
私たちは普段、
「良くしよう」「変えよう」「整えよう」という意識で、
自分の身体や人生と関わっています。
けれどその意識には、多くの場合、
- 今は足りていない
- 何かが間違っている
- このままではダメだ
という前提が含まれています。
この前提に立った瞬間、
意識は世界に対して“操作する側”に立ちます。
この時点で、氣の流れは陰陽のどちらかに傾きます。
三和氣功が観ているのは、その一段手前です。
整えようとする前。
変えようとする前。
判断が生まれる前。
そこに立つと、
陰は陰として、
陽は陽として、
静は静として、
動は動として、
すでに自然な秩序の中に在ることが、
身体感覚として現れ始めます。
このとき、
何かを加えなくても、
何かを取り除かなくても、
氣は自らの流れを思い出します。
この立ち位置そのもの
つまり「在り方」が、
三和氣功におけるヒーリングです。
ヒーリングの本質は「操作」ではなく「余白」
操作とは、
「こうなってほしい」
「こうあるべき」
「この方向へ動かしたい」
という意図を、世界に差し出すことです。
もちろん、操作が必要な場面もあります。
医療や応急処置、日常の判断では、それは不可欠です。
願望実現やゴール達成においても
大切なことです。
けれど、その人の構造自体に触れる
深いレベルのヒーリングにおいて、
操作はしばしば逆効果になります。
なぜなら、操作は今の状態を否定する力を同時に生み出すからです。
三和氣功では、
氣功ヒーリングの本質を
「変化を起こすこと」や「目に見える結果を出すこと」ではなく、
世界が自然に動き出せる余白をつくること
として捉えています。
余白とは、何もしないことではありません。
余計な介入が消えた状態です。
そのとき、
身体は勝手に呼吸を深め、
氣は勝手に巡り、
必要な変化だけが、静かに起き始めます。
生命そのものが自ら流れ動く知性と秩序を持っている。
それを腑に落とすことが氣功の真髄である。
これは三和氣功の根底にあるヒーリングへの考え方です。
在り方が変わると、痛みがほどけ始める理由
三和氣功のヒーリングで起きているのは、
痛みへの直接的な働きかけではありません。
痛みを必要としていた前提そのものが、静かに解かれていく。
その過程です。
在り方としてのヒーリングでは、
- 良くしようとしない
- 理解しようとしない
- 意味づけを急がない
ただ、
「ここに在ること」を、身体ごと許します。
このとき、
身体は初めて
「防御しなくてもいい状況」に入ります。
重要なのは、
癒そうとしていないことです。
癒そうとしない在り方そのものが、
「もう闘わなくていい」
「証明しなくていい」
という深い安心を生みます。
すると、
痛みは役割を終え、
勝手に変質し始めます。
消えることもあれば、
感覚として溶けていくこともあります。
これは、
操作によって起こる変化ではなく、
関係性が変わった結果として起きる変化です。
在り方は、身体にとって最も安全なメッセージ
言葉/概念の生じる前の領域で生きているのが身体です。
だから身体は、言葉よりも先に、
空気感や立ち位置を読み取ります。
「治そうとしている人」
「変えようとしている人」
「結果を期待している人」
それらはすべて、
身体にとっては
“何かを要求されている状態”です。
一方で、
何も求めていない在り方は、
それだけで強いメッセージになります。
――ここにいていい
――そのままで大丈夫
――もう守らなくていい
三和氣功の氣功ヒーリングは、
このメッセージを言葉でも、技でもなく、在り方そのもので伝える。
だからこそ、
深層の痛みほど、
「何もしない場所」でほどけ始めます。
陰陽バランシングヒーリングとは何か
陰陽バランシングヒーリングとは、
調和に焦点を当てることにより、
身体と存在をありのまま受け入れる、
三和氣功が独自に洗練してきた非操作の氣功ヒーリングです。
ここでやっていることは陰を陽に変えることでも、
バランスを取ろうと操作することでもありません。
陰と陽、
静と動、
崩れと回復。
それらすべてを、
あるがままに通過させる立ち位置を、
身体で思い出していく”場”です。
起きる変化は、
派手ではないかもしれません。
けれど、
深く、静かで、
人生の基調そのものを変えていきます。
三和氣功が提供しているのは、
答えでも、
方法でもなく、
その人の生命の流れの根源へと立ち還ってしまう体験です。
癒しとは、
行うものでも導くものでもなく、
ただ在ることだからです。
陰陽バランシングヒーリングは講座、セッション、実践会、
三和氣功のあらゆる場の根底に流れています。
実際に身体で確かめるための場として、体験会もございます。
馬明香(ま あすか)
氣功師、ヒーラー、セラピスト
認知科学をベースとしたヒーリングと中国の伝統気功を用いて、病人を辞めて、本来の自分の生き方に立ち返り自己実現を目指す生き方を追求している。
本当になりたい自分を実現し生きることこそ、病気を治すことの唯一の道であり、どんな状況にあっても自分の価値を探求しながら人生を生きることが人の本当の幸せであることを信じて活動している。
「道タオ」に通じる気功的な生き方、すなわち、頑張らず無理せず、自然体であれば、自ずと自分が持っている本来の魅力や能力が発揮され、健康に豊かに幸せに生きられるはず。
人生のパフォーマンスを最高に高めていくための一つの道具として氣功を提案している。