平穏な日常に、ひとつの「銃」が現れます。
それは暴力の象徴であると同時に、
人の心に潜む“恐れ”を映し出す鏡でもあります。
韓国ドラマ『トリガー』は、
正義と復讐、愛と怒り、
希望と絶望が交錯する物語です。
けれど、その本質は
銃をめぐる対立の物語ではなく──
「人が恐れによって、どれほど愛を歪めてしまうのか」
を描いた寓話だと感じます。
恐れが愛をゆがめるとき
戦争を起こすのは、国家ではなく
人の心に潜む恐れです。
失うこと、裏切られること、足りなくなることへの不安。
その恐れが、いつの間にか
「正しさ」や「力」へと姿を変えます。
愛を守りたい──その思いが恐れに飲み込まれたとき、
私たちは愛から最も遠い場所へと進んでしまいます。
奪う者も、奪われる者も、
根底にあるのは同じ痛みです。
それは「愛されたい」「理解されたい」
という渇望の裏返しにすぎません。
恐れを原動力にする時代は、
今、静かに終わりを迎えようとしています。
対立の外に立つ「観照」の意識
『トリガー』の結末では、
銃を持つ人と捨てる人、
正義を掲げる人と、それを静かに見守る人が描かれます。
けれど、どちらが正しいかという議論こそが、
私たちを愛や平和から
遠ざけてしまうのではないでしょうか。
賛成と反対、強者と弱者──
それらは互いを映し出す鏡のようなものです。
氣功の言葉でいえば、
それは「氣の分離」や「陰陽の対立」と
同じ構造です。
けれど、氣は本来“めぐるもの”。
正しさを超えて、ただ観照することで、
分離したエネルギーは再び和へと還っていきます。
本当の変化は、対立の先ではなく、
すべてを無条件に見つめる“静かな眼差し”の中から生まれます。
闇の中にある光
人は闇を恐れます。
けれど、闇とは光を知るための場でもあります。
『トリガー』の登場人物たちは、
皆その愛を求めて苦しみ、迷い、
引き金を引きました。
それは“悪”ではなく、
「愛を思い出したい魂の衝動」だったのかもしれません。
その痛みを正そうとせず、ただ見守ること。
そこに、氣の浄化と再生が起こります。
それが、三和氣功でお伝えしている「観照」の力です。
恐れの時代の終焉に
恐れが社会を動かし、
人生を支配してきた時代は、
いま確かに終わりつつあります。
私たちはその境界に立っています。
静けさに身をゆだね、
分離を超えて、ただ観る。
それが新しい時代の“力”になるのだと思います。
外側の銃ではなく、
内側のトリガー──
それを引くのは、恐れではなく愛でありたいと感じます。
結びに
私たちに必要なのは、観照です。
無条件に見つめる眼差しです。
そこからしか、新しい流れは生まれません。
それが、
三和氣功が目指す「静かな革命」であり、
この時代を生きる私たちの“愛の引き金”なのだと思います。
※ドラマ『トリガー』は、銃という象徴を通して、人の心に潜む恐れと分離の意識を描いた作品です。
光と闇、正義と暴力、愛と恐れ──それらの対立を通して、人間が本当の愛を思い出す道を問いかけています。
まさに、分断や恐れが顕在化するこの時代にこそ響くテーマです。

馬明香(ま あすか)
氣功師、ヒーラー、セラピスト
認知科学をベースとしたヒーリングと中国の伝統気功を用いて、病人を辞めて、本来の自分の生き方に立ち返り自己実現を目指す生き方を追求している。
本当になりたい自分を実現し生きることこそ、病気を治すことの唯一の道であり、どんな状況にあっても自分の価値を探求しながら人生を生きることが人の本当の幸せであることを信じて活動している。
「道タオ」に通じる気功的な生き方、すなわち、頑張らず無理せず、自然体であれば、自ずと自分が持っている本来の魅力や能力が発揮され、健康に豊かに幸せに生きられるはず。
人生のパフォーマンスを最高に高めていくための一つの道具として氣功を提案している。