── それでも、人生が静かに動き出す理由
第1章|「何かを変えなければ」という衝動から始まる
人生がうまくいかないと感じるとき、
私たちは自然に、こう思います。
「このままではいけない」
「何かを変えなければ」
それは、とても真面目で、誠実な反応です。
そのように思う自分を決して否定しないでください。
苦しさがあるとき、人は必ず
“良くなろう”とします。
氣功に惹かれる人の多くも、
身体を整えたい、心を軽くしたい、
人生の流れを変えたい──
そんな願いをどこかに抱えています。
その衝動自体は、間違っていません。
ただ、氣功の視点から見ると、
そこには一つの「ズレ」が生まれやすい場所があります。
第2章|整えようとすると、なぜズレるのか
「氣を整える」
「バランスを取り戻す」
一見、とても自然で正しそうな言葉です。
けれど、氣功の実践を重ねていくと、
ある違和感に出会うことがあります。
それは、
整えようとするほど、身体や心が遠くなる
という感覚です。
正しい状態を目指すほど、
今の自分が「足りない側」に置かれる。
すると、
今ここにある感覚や呼吸、身体の声は、
どこか脇に追いやられていきます。
ズレているのは、
人生そのものではありません。
ズレているのは、
人生への関わり方の位置です。
第3章|氣功は、技術ではなく「姿勢」を扱っている
三和氣功で扱っているのは、
氣を操作する技術ではありません。
流れを起こす方法でも、
状態を良くするノウハウでもない。
扱っているのは、
どんな姿勢で、自分の人生に関わっているか
という一点です。
変えようとする姿勢。
整えようとする視線。
良くなろうとする意志。
それらは一見、前向きですが、
ときに氣の流れと対立します。
氣功は、
「何かを起こす」ための道ではなく、
すでに起きているものと対立しない姿勢を
身体で思い出していく道です。
第4章|「変わろう」とするほど苦しくなる理由
私たちは無意識に、
学び=成長
変化=前進
という前提の中で生きています。
だから、止まっている自分を
どこかで責めてしまう。
変われない時間を、
無駄だと感じてしまう。
けれど、苦しさの正体は、
能力不足でも、努力不足でもありません。
今の自分から離れ続けていること
それ自体が、苦しさを生んでいるのです。
変わろうとすればするほど、
「まだここではない」という感覚が強まる。
氣功は、
そのループから一度、降りるための視点を示します。
第5章|何も変えなくなったとき、何が起きるのか
操作をやめたとき。
整えようとしなくなったとき。
評価や判断を、少し脇に置いたとき。
不思議なことに、
人生は止まりません。
むしろ、
動かそうとしない方向で、
静かに動き始めることがあります。
大きな出来事が起きるとは限りません。
劇的な変化が訪れるとも限らない。
ただ、
呼吸が深くなり、
身体が戻り、
自分の足で立っている感覚が戻ってくる。
それだけで、
人生との関係は、十分に変わっています。
第6章|変えないことは、止まることではない
「変えない」というのは、
何もしないことではありません。
諦めることでも、
投げ出すことでもない。
それは、
今の自分として、人生に関わり直すことです。
氣功は、
人生を変えるための道ではありません。
変えようとする場所から一度離れ、
すでに流れているものに、
静かに戻っていくための道です。
そのとき、
人生は、こちらが動かそうとしなくても、
必要な分だけ、自然に動き出します。
氣功師・ヒーラー
頑張ることを手放し、ありのままの状態に戻ったとき、
人はもともと備わっている力や調和を自然と思い出していく。
氣功を人生を操作するための方法ではなく、自然体で生きるための智慧として提案している。