陰陽論とは、中国の古代思想における自然哲学で、森羅万象を様々な観点から陰と陽の相反する二つのカテゴリに分類する思想です。
中医学や易など様々な学問の根幹を成す理論の元になりました。
「万物は陰を負い、陽を抱く」と老子でも説かれています。
陰陽論によると、
この世界は有るとか無いという概念も存在しない根源的な「太乙」と呼ばれる状態があり、
そこから陰陽未分化の混沌が生まれ、やがて陰陽の気が二分し、
その陰陽の「相互作用」によってこの世界が生まれて、生滅消長を繰り返しながら今日に至ると考えられています。
陰陽の相互作用とは、例えば古典「素問」にみられるように
「清陽は点になり、濁陰は地となった。 地気が昇って雲になり、天気が下りて雨となる」(「素問」)
陰陽の対立する気が相互に影響をし合いながら、循環し、交流するというあり方をさします。
陰陽の相互作用を象徴的に表しているのが
「陰極まれば陽に転じ、 陽極まれば陰に転ずる」
という陰陽の性質です。
陰陽は、常に相対的で、流動的で。
関係性によって変化し、
現象として陰の性質が表れていてもその内には陽を内包し、
現象として陽の性質が現れていてもその内には陰を内包している。
というダイナミックな平衡関係にあります。
それを表しているのが、陰陽太極図です。
この陰陽の作用がありとあらゆる事象に働いています。
陰と陽は本来コインの裏表のように一つのものの違った側面です。
単独で存在することはできません。
光というものを認識するためには闇をまず知らねばならず、闇を認識するためには光の存在が不可欠です。
私たちは物事のポジティブな面だけを求め、ネガティブな面を否定したり、拒否しようとしますが、ポジティブとネガティブは常に同時に存在するため、どちらか一方だけを得つづけるということは不可能です。
陽は絶頂に達すれば必ず陰に転じるし、陰も極まれば必ず陽に転じます。
三和氣功ではネガティブかポジティブかということにこだわらず、陰陽の本質を観ることが大切であると考えます。
すなわち、陰と陽を同時に観る観点を持つことで陰陽のパワーの中心に自分を置いてそこから世界を捉えるという考え方です。
それが実は陰と陽とその交わりの三位一体である「三和」の本質的な意味です。
※これは日本の神道でいうところの「中今」や仏教でいうところの「中道」という概念とほぼ同義か、または非常に近しい概念だと思われます。